2026.9.19
BTS着用ブランドに、パリコレブランド。まだ知らない韓国ファッションの潮流【韓国トレンドの裏事情vol.4 後編】
日本人の母親とアメリカ生まれの韓国人の父親を持ち、日本、アメリカ、韓国を行き来しながら各国の文化に触れて育ったバックボーンと、仕事での経験をベースに、誰もが知っている韓国トレンドを深堀り解説します。
連載4回は、韓国のファッションブランドの動向について解説します。前編では、日本に続々進出している韓国のバッグブランドについて、その人気の秘密を考察しました。後編では、韓国のファッションブランドについて掘り下げます。
構成/藤田麗子
記事が続きます
前編に続き、後編ではバッグブランドから視野を広げて、韓国のファッションブランドについても触れておきたいと思います。なぜならK-Beautyだけでなく、K-Fashionの人気がかつてないほど高まっているからです。日本や欧米でも韓国ブランドを扱うセレクトショップが増え、百貨店でも広く取り扱われるようになってきました。
K-Fashionの今 ~韓国ファッションブランドの2つの流れ
韓国のファッションブランドは、大きく二つのタイプに分けられます。
一つは、パリやミラノのコレクションに出て、デザイナーが世界で評価されていくブランドです。「Mardi Mercredi」(マルディ メクルディ)や「Matin Kim」(マーティン キム)などはすでに日本でもよく知られているので、ここでは「WOOYOUNGMI」(ウーヨンミ)と「Juun.J」(ジュン・ジー)をご紹介したいと思います。
WOOYOUNGMIは女性ファッションデザイナーのウー・ヨンミ氏が手がけるブランドです。韓国人デザイナーとしてはかなり早い2002年からパリに進出し、翌年からファッションウィークでコレクションを発表しています。2020年にはパリのボン・マルシェ百貨店の紳士服部門で売上トップを記録しました。近年はレディースも展開し、今後ますます大きくなっていくブランドだと思っています。
韓国の有名デザイナーといえば、かつてはセレブ御用達エリアの清潭洞にブティックを構えることが多かったのですが、WOOYOUNGMIはその流れを変えたブランドでもあります。2025年には、ファッションの聖地としてもホットな漢南洞にカフェやレストランを備えた複合文化空間「WOOYOUNGMI Itaewon FlagshipStore」をオープンし、話題を呼んでいます。
また、Juun.Jは男性デザイナーのジュン・ジー(JUUN.J)ことチョン・ウクジュン(Jung Wook Jun)氏が2006年にスタートし、サムスン物産のファッション部門が展開するブランドです。メンズコレクションが強いブランドではありますが、ゼンデイヤやティモシー・シャラメなど海外のセレブが韓国に来たときに「ショッピングリストに入れるブランド」として名前が挙がることもあります。
こうしたブランドは、長い時間をかけてコレクションを続けることでブランド価値を作り上げてきました。他には、バレンシアガで経験を積んだデザイナー、キム・インテ(Kim Inte)氏が2014年に設立したブランド「KIMHĒKIM」(キムヘキム)をはじめ、ミラノコレクション進出後、今年3月にZARAとの初コラボを果たした「ANDERSON BELL」(アンダーソン ベル) にも注目しています。
また、「SONGZIO」(ソンジオ)はWOOYOUNGMIと同時期にパリコレクションに進出し、今春カムバックしたBTSの舞台衣装を担当して話題を集めました。

もう一つの流れは、海外コレクションへの進出とは別の形で成長しているブランドです。たとえば、日本の表参道をはじめ、大阪・神戸にも店舗を展開する「ADER ERROR」(アーダーエラー)。このブランドもメンズから始まり、2021年と2022年にはZARAから熱烈なリクエストを受けて、両ブランドの頭文字を組み合わせた“A to Z”コラボコレクションを発表しました。
また、ストリート系の人気ブランドといえば「thisisneverthat」(ディスイズネバーザット)です。韓国版StüssyやSupremeと考えていただくとわかりやすいでしょう。日本のメンズファッション誌『POPEYE』でも取り上げられるなど、日本の若者に大人気の注目ブランドです。
もうひとつ注目したいのは、「POST ARCHIVE FACTION(PAF)」(ポスト アーカイブ ファクション)というデザイナーブランドです。スイス発の人気ランニングシューズブランド「On」とコラボするなど、若い人たちの中で憧れのブランドになっています。
そして、日本でも人気の高い「Helinox」(ヘリノックス)は、韓国第2の都市・釜山発のアウトドアブランドです。2009年に誕生したときは地方の中小企業でしたが、いまや日本の裏原系ブランドNEIGHBORHOODとのコラボをはじめ、Louis Vuitton のグランピングチェアの制作に携わるなど、アウトドアとファッションの境界を越えたグローバルブランドへと進化しています。
また、2019年にスタートしたストリートブランド「San San Gear」(サン サン ギア)もZ世代の若者を中心に支持されています。こうしたブランドは、コレクションよりも「ブランドをどう広げるか」を重視していて、ストリート系ファッションや機能性ウェアなど、今のトレンドをうまく読みながら人気を広げてきたと言えます。
韓国ブランドが広がる背景には、やはりK-POPの影響があります。重要なのはステージ衣装ではなく、あくまでも私服。第1回でもお話ししたように、韓国のアイドルは空港ファッションや普段の私服がよくパパラッチされます。また、インスタライブなどの配信中にさりげなく映る私服は、アーティスト本人が選んだものということもあり、「推しとおそろいの服を着たい」という願望が高まります。このような形でアイドルが着ている服のブランドが注目され、人気が広がっていくケースが多いのです。
ハイブランドの衣装には手が届かなくても、K-POPアイドルが私服として着ているADER ERRORやthisisneverthatはファンが購入できる値段でデザインもいい。特にthisisneverthat は、DickiesやNew Balance、G-SHOCK、Disney、Timberlandなどなど、MZ世代の心をつかむブランドとのコラボもうまいと思います。
また、最近はK-POPアイドルのためにカスタムしたステージ衣装をファッションブランドが商品化し、爆発的な人気を得た例があります。それが韓国のZ世代に絶大な人気を誇る「2000ARCHIVES」(2000アーカイブス)のダメージデニム、Snyder Wide Denimです。BLACKPINKのリサが2026年1月、東京ドーム公演のアンコールで着用して話題となり、一般発売されるやいなや即日完売。韓国の大手ファッション販売ウェブサイトMUSINSA(ムシンサ)のレディースデニム部門で1位に輝き、再販分も人気を集めています。
記事が続きます
![[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント](https://yomitai.jp/wp-content/themes/yomitai/common/images/content-social-title.png?v2)















