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「早い、うまい、安い」で韓国バッグブランドは世界を席巻する日が来る!? 【韓国トレンドの裏事情vol.4 前編】

ニューヨークを拠点に、15年以上にもわたってファッション、ビューティーブランドのブランディングや広告キャンペーンのディレクションに携ってきたジョエル・キンベック氏。
日本人の母親とアメリカ生まれの韓国人の父親を持ち、日本、アメリカ、韓国を行き来しながら各国の文化に触れて育ったバックボーンと、仕事での経験をベースに、誰もが知っている韓国トレンドを深堀り解説します。

前回は日本のみならず、アメリカでも大きな売り上げを占める、韓国美容についての解説でした。今回は、気が付くとみんな持っていた韓国ブランドのバッグについて。なぜここまでシェアを広げられたのかを考察します。

構成/藤田麗子

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ここ最近、韓国発のバッグブランドが世界的な注目を集めています。バッグ&シューズブランドの「OSOI」(オソイ)は日本でもユナイテッドアローズなどのセレクトショップで取り扱われており、2025年秋にはルミネ新宿と渋谷PARCOに日本初の直営店がオープンしました。

また、100ドル前後の手頃な価格帯とデザイン性でアメリカでも人気急上昇中の「STAND OIL」(スタンド オイル)は2026年2月、渋谷・宮下パーク2階に日本初のストアを、7月に2店舗目を東急プラザ表参道にオープン。このほかに2025年に恵比寿に待望の日本旗艦店をオープンした「TOUT Y EST」(トゥティエ)など、続々と韓国の人気バッグブランドが日本進出を果たしています。

数あるブランドのなかで、なぜ今、韓国ブランドのバッグが支持されているのでしょうか。その背景を語るうえで欠かせないのが、ソウルの東側にある聖水洞ソンスドンです。

写真はイメージです Photo by  Elena Noviello/Getty Images
写真はイメージです Photo by Elena Noviello/Getty Images

聖水洞の変化 ~工場の街から“ソウルのブルックリン”へ

今でこそおしゃれな街として知られる聖水洞ですが、もともとは革製品の小さな工場や倉庫が集まるエリアでした。15年ほど前に訪れたときは、やや荒涼とした雰囲気だったことを覚えています。

ただ、靴職人の工房が多かったことがのちの変化につながっていきます。韓国の地方都市には大手メーカーの靴を生産する工場がありますが、小さなブランドにとって数千個や数万個単位の発注は現実的ではありません。ですが聖水洞には、靴やバッグを少量からオーダーができる工房があった。そのため、ソウルのファッション関係者が自然とここに集まるようになったのです。

さらに10年ほど前から、世界的に“ブルックリン風”のインダストリアルな街並みが注目されるようになりました。工場や倉庫をリノベーションしたカフェやショップが人気を呼び、聖水洞も一気にトレンドエリアへと変わっていきます。近年のニューヨークでは、橋をひとつ渡った先のマンハッタンよりも、ブルックリンのほうに若者が集まっています。
ソウルも同様に、漢江の対岸に位置する狎鴎亭やカロスキルより、聖水洞が支持を集めるエリアへと変わっていきました。

ハイブランドが50万~100万円の時代。韓国ブランドが支持される理由

最近のトレンドで目立つのが、横長フォルムでロングハンドルのレザーバッグです。ブランドで言えば、「MIU MIU」のアルカディや「ALAÏA」のル テケルのようなフォルムが人気を集めています。

CHANELからも2026年春夏 プレコレクションとして、スモール フラップ バッグが発売されました。アイコンとして知られるチェーンストラップではなく、革のロングハンドルというデザインで、BLACKPINKのJENNIEがSNSにアップしたことで一気に注目のアイテムになりました。
ただし、価格は発売当初から上がり続けて現在100万円代。他モデルも200万円を超えるものがあり、CHANELのバッグも以前に比べて大きく価格が上がっています。

ハイブランドのバッグが気軽に買えるものではなくなるにつれて、消費者の傾向も変わってきています。私もファッション関係の仕事をするなかで、「今の若者たちはどんどんハイブランドから離れている」という話をよく耳にします。もちろんラグジュアリーなブランドが好きな人もいますが、ソウルの街を歩く若者のバッグを見かけて、「素敵だな。どこのブランドかな?」と思うと、実は韓国ブランドだったというケースがかなり増えました。

韓国ブランドが支持される理由は、リーズナブルなのにトレンディ、合皮ではなく本革を使用し、クオリティも高いという点が大きいと思います。日本でもよく知られている「OSOI」のBOAT WIDEをはじめ、さまざまな韓国ブランドのバッグが国内外で流行しています。 
最近ニューヨークでよく見かけるブランドとしては、「MARGE SHERWOOD」(マージシャーウッド)があります。2025年にニューヨークのソーホー地区にポップアップがオープン。アメリカの大手セレクトショップのKithや、フランス発のセレクト型百貨店PRINTEMPSでも取り扱われ、存在感を高めています。

さらに、注目度急上昇中なのが冒頭でもご紹介した「STAND OIL」です。今年初めにベラ・ハディッドがこのブランドのRingo Mini Bagを持つ姿がキャッチされ、手に取りやすい価格(11,300円/2026年9月現在)もあって大きく話題になりました。
他にも、「FACADE PATTERN」(ファサード パターン)のCabin Bagが人気の定番バッグとなり、あわせて使えるインナーバッグがさまざまなメーカーから登場しています。ファッションブランドの「TIME」がリリースしたEclipseトートバッグもITバッグとして広く愛されています。

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ジョエル・キンベック(JOEL KIMBECK)

 英ゴールドスミス・カレッジの大学院でメディアを専攻。広告企画会社勤務を経て2010年に独立し、ブランディングエージェンシー「STUDIO HANSOME」を設立する。ニューヨークを拠点に、ソウル、東京、パリ、ミラノを行き来してファッション、ビューティー、ライフスタイルのブランディングを手がけるクリエイティブ・ディレクター。
 LVMHグループ傘下のブランドをはじめ、モスキーノ、VERA WANG、メゾンキツネ、ラフシモンズ、ロベルトカヴァリ、TUMI、カルバン・クラインなどのファッションブランド、ロレアルグループ傘下やアモーレパシフィック傘下のビューティーブランドにおいて、ブランディング全般を担ってきた。 
 韓国の『W』『VOGUE』『GQ』、『月刊デザイン』『東亜日報』『週刊東亜』など多くの媒体でコラムを執筆中。著書に『ファッションミューズ』(2016年)、『FRESHNESS CODE』(2021年)がある。韓国人デザイナーの海外進出を支援する韓国政府のプロジェクト「コンセプトコリア」のコンサルタントとしても活躍。
@studiohandsome
https://www.studiohandsome.com/


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