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BIGBANGのG-DRAGONが先駆者⁉ K-POPアイコンとハイブランドの蜜月の歴史【韓国トレンドの裏事情vol.1 前編】

ニューヨークを拠点に、15年以上にもわたってファッション、ビューティーブランドのブランディングや広告キャンペーンのディレクションに携ってきたジョエル・キンベック氏。
日本人の母親とアメリカ生まれの韓国人の父親を持ち、日本、アメリカ、韓国を行き来しながら各国の文化に触れて育ったバックボーンと、仕事での経験をベースに、誰もが知っている韓国トレンドを深堀り解説します。

初回は、やはり韓国を語る上では外せない、K-POPアイドルについて。ビジネスとしても、カルチャーとしても世界を席巻する存在になっていったその背景を改めて解説します。

構成/藤田麗子

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 みなさん、こんにちは。ジョエル・キンベック(Joel Kimbeck)と申します。2010年にブランディングエージェンシー「スタジオハンサム」を設立し、ニューヨークを拠点にファッションやビューティーのブランディングや広告ビジュアルの制作を手がける仕事をしています。最近はライフスタイルブランドとのお仕事も増えてきました。
 グローバルファッションやビューティーのトレンド、カルチャーに関するコラムニストとしても活動していて、韓国・東亜日報系列の週刊誌『週刊東亜』で15年ほど連載を続けています。『W Korea』『VOGUE Korea』『GQ Korea』などで執筆したコラムをベースに、韓国で3冊の本を出版しました。
 この連載では、こういったビジネスの経験をもとに、今注目を集めている韓国カルチャーについて考察していきます。 初回は、韓国トレンドを牽引する存在になったK-POPアイドルのビジネスについて解説をしてみたいと思います。

K-POPアイドルとラグジュアリーブランドの蜜月はいつ、どのように始まったのか?

 ここ数年、多くのK-POPアイドルが世界的なハイブランドのアンバサダーを務めることが増え、売上や市場拡大に大きな影響を及ぼしています。

 韓国の芸能人――当時はまだアイドルではなく俳優でしたが――がハイブランドを着用したモデルを務めることが増えてきたなと僕が感じるようになったのは、2010年代に入ってからです。これは、ブランドの韓国支社がファッション誌に広告宣伝費を支払い、撮影をするようになってきたことが一因だと考えられます。
 日本ではもっと早くからこのような「タイアップ企画」が存在していましたが、韓国にはこの当時はハイブランドがファッション誌に広告宣伝費を払って企画制作をするという概念が一般的ではなく、用語自体も浸透していませんでした。

 韓国版の『VOGUE』や『GQ』『W』を制作しているのは、DOOSAN MAGAZINEというライセンス会社です。韓国では「海外のトップの人と仕事をしたい」という気持ちが強い傾向がありますが、たとえばジジ・ハディットやヘイリー・ビーバーのようなトップモデルを使いたいとか、スティーブン・マイゼルやマート&マーカスなどの有名なフォトグラファーに撮影を依頼したいと思っても、2010年代前半までは難しい状況でした。まだ本国で韓国のことがよく知られていなかったし、予算的にも厳しかったからです。
 しかし、ハイブランドとのタイアップが始まったことによって、これまでDOOSAN MAGAZINEの予算内ではキャスティングできなかったモデルやフォトグラファーを使ったり、海外で撮影をしたりすることが可能になってきました。

G-DRAGONがグローバルアンバサダーの先駆けに

 ハイブランドとのコラボレーションで最初に大きなインパクトを残したのはG-DRAGONでしょう。デビュー当初のG-DRAGONのファッションはセミHIPHOP的なスタイルが多くて、ラグジュアリー系だとしてもPIERRE HARDYなどをクールに着こなすスタイルが多かった。

 そんななかG-DRAGON は2014年からCHANELのショーに招待されるようになり、2016年にはアジアの男性として初めてCHANEL本社のグローバルアンバサダーに任命されました。
 この年の8月にCHANELを着て『VOGUE Korea』の表紙を飾りますが、このカットは『VOGUE』20周年を記念してカール・ラガーフェルド氏が撮影したということも大きく話題になりました。CHANELにはメンズラインがありません。もちろん男性が着てもいいのですが、メンズを意識して作られたものがない中で、G-DRAGON はCHANELをジェンダーレスに着こなしてショーを訪れ、カール・ラガーフェルド氏と2ショットを撮られたりしています。G-DRAGONの起用の裏にはきっとCHANEL Koreaによるプッシュもあったんじゃないでしょうか。

 ファッション的にどんな時期だったかというと、2011年のコーチェラ・フェスティバルにカニエ・ウエストがCELINEのブラウスを着て登場し、2013年にはCELINEのショーを訪れました。フィービー・ファイロがCELINEのクリエイティブ・ディレクターを務めていた頃で、当時はレディースラインしかありませんでしたが、それを男性が着こなしたことで注目を浴びたのです。ファッション業界のこうしたムードや流れもあって、G-DRAGONのアンバサダー起用が実現したのかもしれませんね。

2015/SS のシャネルオートクチュールのショーにて。当時シャネルのアーティスティック・ディレクターおよびクリエイティブ・スタジオ・ディレクターだった、今は亡きカール・ラガーフェルド(右)とG-DRAGON(左)。Photo by Rindoff/Dufour/Getty Images
2015/SS のシャネルオートクチュールのショーにて。当時シャネルのアーティスティック・ディレクターおよびクリエイティブ・スタジオ・ディレクターだった、今は亡きカール・ラガーフェルド(右)とG-DRAGON(左)。Photo by Rindoff/Dufour/Getty Images

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新刊紹介

ジョエル・キンベック(JOEL KIMBECK)

 英ゴールドスミス・カレッジの大学院でメディアを専攻。広告企画会社勤務を経て2010年に独立し、ブランディングエージェンシー「STUDIO HANSOME」を設立する。ニューヨークを拠点に、ソウル、東京、パリ、ミラノを行き来してファッション、ビューティー、ライフスタイルのブランディングを手がけるクリエイティブ・ディレクター。
 LVMHグループ傘下のブランドをはじめ、モスキーノ、VERA WANG、メゾンキツネ、ラフシモンズ、ロベルトカヴァリ、TUMI、カルバン・クラインなどのファッションブランド、ロレアルグループ傘下やアモーレパシフィック傘下のビューティーブランドにおいて、ブランディング全般を担ってきた。 
 韓国の『W』『VOGUE』『GQ』、『月刊デザイン』『東亜日報』『週刊東亜』など多くの媒体でコラムを執筆中。著書に『ファッションミューズ』(2016年)、『FRESHNESS CODE』(2021年)がある。韓国人デザイナーの海外進出を支援する韓国政府のプロジェクト「コンセプトコリア」のコンサルタントとしても活躍。
@studiohandsome
https://www.studiohandsome.com/


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