よみタイ

佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ドクターマーチンのかっこいい履き方、おっちゃんが教えたる!

日本市場で飛躍的に売れ行きを伸ばしているというドクターマーチン。
街で人々の足元チェックをすれば、数多の老若男女がドクターマーチンを履いて闊歩しているのが目に入る。
前にも本コラムで書いたのだが、僕がこの世で一番愛する履物はドクターマーチンの8ホールブーツだ。
ドクターマーチン歴はかれこれ三十有余年におよび、悪いけど一家言ある。

そしてその前コラムでは、「ドクターマーチンなんて、ストリート“アンチスタイル”の最右翼だ。その時代の若者が独自の解釈で、自由に履けばいいに決まっているのだ」なんてかっこいいことを書いちゃったのだけど……。

前・言・撤・回!

特にブーツ。履き方がなってない若者が多すぎる!
見るに堪えないので、おっちゃんがひとつ指導したいと思います。
もしや、これが世に言う老害?なんて思ったりもするが、ええ、老害で構いませんとも。

紐をクロスさせるのはNG。横一文字になるように通し、左右の羽根をピタリとつけるべし

などと威勢よく書いてはいるが、実はドクターマーチンブーツに公式の履き方はないそうだ。
だから、本当のホントのところは自由に履けばいい。

でも……、ですよ。
労働者の作業用ブーツとして誕生したドクターマーチンブーツは、1960年代中頃にロンドンのスキンヘッズに見出されてストリートファッション化し、その後はパンクスを中心にロックな履物として人気を博した。
だから、カッコよく履くためには、今でもやっぱり往年のスキンヘッズやパンクスを真似するに限る!と、おっちゃんは思うのです。

では、いきます。

街で一般的によく見かけるのは、紐を一番下の左右ハトメに通し、上へ向かって順々にクロスさせていく方法。スニーカーや一般的な編み上げブーツでよく見る紐の通し方だ。
この“クロス方式”は、紐を締めるのも緩めるのも簡単で、もっとも脱ぎ履きしやすい。

だが僕に言わせると、これはNG。ドクターマーチンブーツに限れば、イケてない履き方だ。
“クロス方式”だと、どうしても左右の羽根の間に隙間ができるでしょ?
ドクターマーチンブーツは、左右の羽根をぴたりとくっつけて履くのがかっこいいのだ。

では、ぴったりくっつけるためにはどうすればいいか。
クロスさせるのではなく、横一文字になるように紐を通せばいいのです。

写真を見てもらえばわかりやすいと思うが、紐を一文字にするには、片方のハトメの一番上から通した紐を、反対側のハトメの一番下まで持っていき、あとは糸で布を縫うように上まで順に通していく。

“一文字方式”は紐を締めたり緩めたりするのにコツが必要で、慣れるまでは脱ぎ履きしにくいという欠点がある。

でも、一番大事なのは見た目。
ドクターマーチンブーツは、ぜひ“一文字方式”で履いていただきたい。

最終的な紐の処理法は2パターンある。

均等に余らせた左右の紐をそれぞれブーツのボディ背側に回し、タグの中に通して前に持ってくる。そして普通に蝶結びするAパターン。

Bパターンは紐を片側だけ長く残し、ブーツのボディにグルグルと巻きつけ(その際、タグの中に通すのを忘れずに)、結ばずに紐の端をグルグルに挟んでおしまい。
つまり結ばないのだ。

僕としてはBパターンが一番かっこいいと思うし、かつてのスキンヘッズ&パンクスの多くもこうしていたが、難点は履いているうちに紐が緩みがちなこと。
なるべく緩まないようにするには、紐の端に一つずつコブを作っておくのがポイントだ。

一番大事なのは、とにかく “クロス×、一文字◎”ということ。
ドクターマーチンブーツを持っている人は、だまされたと思ってやってみてください。
絶対にかっこよくなるから。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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