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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

モッズゆかりのブランド、ベンシャーマンの中綿入りジャケットは暖かいけどクール

寒いのがとても苦手な僕は、真冬の極寒期になるとオシャレだのなんだの言っている余裕がなくなり、ひたすら保温重視のダウンジャケットを着て日々をやり過ごす。
ダウンジャケットもいくつか持っていて、最終ゴールの“一番あったかさん”にたどり着くまでには何段階かある。

11月初旬の今はまだダウンジャケットの出番ではなく、ダウン同様に保温材が詰まった衣服の中から、中綿入りジャケットを選択することが多い。
僕の中綿キルティングジャケットは、ベンシャーマンのものだ。

1963年にイギリス・ロンドンで創業したベンシャーマンは、モッズ(およびその発展系のスキンヘッズ)の代名詞のようなブランド。
ベンシャーマンといえばモッズ、モッズといえばベンシャーマンというほどそのゆかりは深い。

ベンシャーマンの代表的アイテムである、チェック柄のタイトシルエットなボタンダウンシャツは、町にたむろするモッズやスキンヘッズの若者に加え、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、オアシスといった、イギリスが誇るバンドマンにも愛用されてきた。

モッズとは関係のない服だと思ったが、着てみるとやっぱりここならではの良さがあった

モッズやスキンヘッズカルチャーが好きな僕は、昔からシャツといえばベンシャーマンのボタンダウンばかり着てきた。
というか、ボタンダウンシャツ以外のベンシャーマンの服にはほとんど興味がなかった。
でもベンシャーマンは、1960年代にモッズに支持されて大きく売上を伸ばしたあと、そうしたテイストを核に残しつつも、総合的なアパレルブランドに成長。
現在ではかなり幅広いテイストの商品を展開している。

このキルティングジャケットにはモッズテイストなどどこにも感じられず、最初見たときはベンシャーマンだということにさえ気づかなかった。
ちょっと寒くなった季節、日常的に着る服として便利そうだなと思って買った服が、たまたま昔から支持しているベンシャーマンだったにすぎない。

でも、これはもしかしたら好きなブランドに対する贔屓目なのかもしれないが、何の変哲もないこのジャケットにも、ベンシャーマンならではの良さを感じる。
普通、こうしたアウトドアテイストのアウターは、厚手のインナーに合わせることを想定して身頃がゆったりめにできているものだが、このベンシャーマンはけっこうタイトな作りなのだ。

さすが、クール・スマート・スリム・シャープ・シンプルの五つをキーワードとする、モッズゆかりのブランドだ……と一人納得。
せっかくなのでベンシャーマンのボタンダウンシャツと合わせてみると、やっぱり相性がいいようだ。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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