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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

20年前に運命的な出会いをしたダナーの希少モデルはまさに一生モノ

ファッションがらみの業界の人と仕事をしていると、互いの着ている服や持ち物をチェックし、「それ、どこのブランド?」とか「どこで買ったんすか?」などと尋ね合うことがよくある。
僕の持っているファッションアイテムの中で、そんなふうに聞かれることが多いのがこのブーツだ。
「ダナーだよ」と答えると、ファッションに詳しい人にほど「へー!」と驚かれる。

アウトドアブーツで有名なダナーは、1932年に創業したアメリカの老舗ブランド。
数ある商品の中では特に、今年リリース40周年を迎えた編み上げブーツのダナーライトが有名だ。

僕の持っているこのダナーブーツは、シャープテイル・コヴェイ8というもの。
ダナーらしくGORE-TEX仕様なので、雨でも雪でもまったく大丈夫。ほとんど長靴のような気分でハードに履くことができる。
後ろがジップになっているので脱ぎ履きやすいし、ビブラム社のガムライトという軽量のソールを使っているので、全体的に軽く仕上がっている。

機能性についてはそんなところだけど、何よりこの見た目がかっこいいと思いません⁉️
ハンティングブーツに分類され、野外でガンガン使うことを想定したものだから、買ってから約20年、あえてろくに手入れせず、なるがままに任せてきた。
そしたらどんどんいい味が出てきて、ますます愛着が深まってきたのだ。

「これは運命かな」と思えるほど気に入った品は、絶対に逃すべからず

ところで、こちらのシャープテイル・コヴェイ8、実は日本未発売モデルらしいのだ。

確かに日本のダナー公式ホームページを探してもどこにも載っていない。
USのホームページには同シリーズの後継商品は載っていたが、コヴェイ8は掲載なし。
どうやらすでに廃盤になっているようだ。

日本未発売ですでに廃盤ということは、えらい希少品ということだ。
どうりで同じものを履いている人に会ったことがないし、目の肥えたオシャレさんからの反応が良いはずだ。

僕が20年前にどうやって入手したのかというと、吉祥寺の小さなセレクトショップで普通に買ったのだ。
おそらく、現地で少数買い付けした並行輸入品だったのだろう。
店頭で見て「あ、いいな」と思いながら、そのときは買わずに帰ったものの、なぜか忘れられずに翌週もう一度同じお店に行って買った記憶がある。

あれは、運命だったんだろうな。
物を買うときは、たまにこういう運命的な出会いがあるし、それを逃さないのが大事なんじゃないかなと思う。

ソールを何回か補修しながら20年履き続けているこのダナーブーツ。
多分、一生モノっていうのはこういうことなのかなと思うのだ。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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