2026.7.23
“世界初のインターネット探偵”も登場! 異様な熱量で未解決事件の犯人と真相に迫るアメリカの市民探偵たち
日本では考えられない官民連携
本書で印象的なのは、市民探偵たちの異様なほどの情熱と、その情熱を活かすネットワークと組織づくり。例えば、冒頭に登場した世界初のインターネット探偵、トッドは妻とともにファッションビジネスを手掛けながら、1999年に身元不明遺体と行方不明者のデータを登録できる世界的なデータベース「DOEネットワーク」、2001年には「プロジェクトEDAN」を立ち上げた。
「DOEネットワーク」は、警察が身元不明遺体の特徴を入力し、該当する行方不明者データを検索できるようになっている。「プロジェクトEDAN」では、資格を持つ科学捜査アーティストのボランティアグループと組んで、解剖の際に撮影された写真、もしくは頭蓋骨から身元不明者の顔を粘土で復元している。
驚くのは、長年身元が判明しない殺人被害者の頭蓋骨をトッドが警察から託されるシーン。「身元不明者を家族のもとに戻す」という使命のもと、日本では考えられないような公的機関と民間組織の連携が図られているのだ。
これらの実績を買われたトッドは2007年、アメリカの司法省が立ち上げた「全米行方不明者・身元不明者システム」の設立者、共同運営者に就任した。このシステムは身元不明遺体の詳細を記録したデータベースと、行方不明者の情報を相互参照できるようになっており、行方不明者を捜す家族に指紋や歯の治療跡の照合、DNA分析などを無料で提供している。
ほかにも本書には、DNAのプロファイリングに使用可能な商用データベースで警察も利用する「GEDmatch」などが登場する。
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本書によると、「毎年六十万人もの人々が行方不明となり、約四千四百体の身元不明遺体がアメリカ国内で発見されている」。これだけの行方不明者と被害者がいるからこそ、関連する組織やサービスが充実しているのだろう。
ちなみに日本の警察のデータを見ると、2022年に行方不明届が出されたのが8万4910人で、そのうち年度内に所在確認されたのは8万653人、行方がわからないままなのが4257人だった。また、日本では毎年500~800体の身元不明遺体が発生しているという。アメリカと比べると圧倒的に少ないが、市民探偵の力を借りれば、家族のもとに帰ることができる身元不明者が増えるのではないだろうか?
これまで3回続けて、海外のネット探偵、市民探偵たちの活躍を追ってきた。次回は、再び日本のノンフィクションを紹介する。取り上げるのは「ルフィグループ」として話題を呼んだ重大犯罪集団の真相に迫る『檻の中のルフィ 闇バイトを生んだ者たち 』(著:栗田シメイ/講談社)だ。
次回は8/27(木)公開予定です。
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