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グリーンピースの「さや」が絶品リゾットに! 節約できて旨味満点「ベジブロス」とは?

野菜くずで出汁をとる「ベジブロス」

そこで始めたのが「ベジブロス(Vegetable’s Broth:Veg Broth)」でした。
ベジブロスとは、“野菜くず”を煮出して作るスープストックのこと
いつもは捨ててしまう野菜のヘタや芯、皮や種などを煮ることによって、旨味たっぷりのスープができて、しかも、ゴミのカサを減らすことができます。

野菜の皮や切れ端など何でも使える。(筆者撮影)
野菜の皮や切れ端など何でも使える。(筆者撮影)

ベジブロスの作り方はとっても簡単。

グリーンピースのさやや、玉ねぎの皮など、そのままでは食べない部分(不可食部)を、ジッパーつきの袋にためて冷凍庫に入れておきます
ある程度の量たまったら、深底の鍋に入れて、1〜2リットルの水を入れて、1〜2時間程度、煮出していきます。
だいたい1リットルの水に対して、両手1杯分くらいの野菜くずが目安です。
冷蔵庫保存で、2〜3日で使い切れるくらいがよいでしょう。
野菜の皮についた残留農薬がどうしても気になる人は、1分ほど重曹入りの水に浸けて乾かしてから冷凍するという方法もあります。

使う野菜の種類や組み合わせはお好みで。
グリーンピースのさやが入っていると、とても甘く、やわらかな香りの「出汁だし」がとれます

グリーンピースの“さや”で作る本格リゾット

このベジブロスは、ミネストローネのような野菜スープやパエリアなど、いろんな料理に使うことができます。

私のお気に入りは、リゾットへの応用。
イタリアでは、グリーンピースのパスタやリゾットを作るとき、さやを茹でて、お湯に香りをつけるそうです。

ベジブロスを作っておけば、そんな野菜の旨味たっぷりの本格リゾットを、とても手軽に作ることができます。
私は、食品企業に勤めていたときに食の勉強会でお会いした、アクアパッツァの日高良実先生のレシピを参考にしています(『アクアパッツァ・日高良実シェフの新イタリアン』世界文化社)。
オリーブオイルを熱してエシャロット(玉ねぎ)とお米を炒め、米が透き通ってきたら、白ワインとベジブロスを注ぎ、具材(グリーンピースやアスパラガスなど)を入れて煮て、煮上がったらモッツァレラチーズやパルミジャーノチーズを加えて火からはずして出来上がりです。

グリーンピースのさやを煮出すだけで、和洋中、どんな料理にも合う出汁がとれる。(筆者撮影)
グリーンピースのさやを煮出すだけで、和洋中、どんな料理にも合う出汁がとれる。(筆者撮影)

グリーンピースのさやは捨てられることが多いでしょう。
でも、ベジブロスのように、煮出すことで、新鮮な野菜の香りを楽しむことができます。

料理研究家の有元葉子さんは、グリーンピースのさやを煮出して、薄いグリーン色の香りのよいスープをとり、それを使って、グリーンピースご飯を炊くそうです(『「使いきる。」レシピ』有元葉子著、講談社)。
有元さんは、「春の恵みのグリーンピースをさやごといただく行為そのものが、自然を敬う日本人の感性に合う気がする」とおっしゃっています。

新鮮なグリーンピースが手に入ったら、ぜひ、やってみてください。

【捨てないコツ】
・グリーンピースは新鮮なうちに茹でると旨味を損なわず冷凍保存できる。あらかじめ小分けにしておくと使いやすい。
・“さや”は煮て、出汁をとる。
・野菜に捨てるところはない。捨てるのは「野菜の切れ端=不要なもの」という先入観だけ。

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井出留美

いで・るみ●食品ロス問題ジャーナリスト
奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。「食品ロス削減推進法」成立に協力した。政府・企業・国際機関・研究機関のリーダーによる世界的連合Champions12.3メンバー。
『あるものでまかなう生活』(日本経済新聞出版)、『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬社新書)、『捨てないパン屋の挑戦 しあわせのレシピ』(あかね書房)など著書多数。
食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。

公式サイト●http://www.office311.jp/
Twitter●@rumiide

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