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CITY BOYおじさん 湖畔でデュアルライフはじめました。
東京生まれ、東京育ちの“シティボーイおじさん”が、山中湖畔に中古の一軒家を購入!
妻、娘、犬とともに東京←→山梨を行き来する2拠点生活=「デュアルライフ」をはじめました。
音楽や読書など山の家での趣味活動から、仕事やお金のやりくりといった現実的な話題まで、
著者が実体験したデュアルライフのリアルを綴ります。
別荘暮らしが優雅な富裕層の特権だったのはもう過去の話。
社会環境や生活スタイルが大きく見直されている今、必読のライフエッセイです。

「富士山のふもとに住んで、噴火とか怖くないの?」と聞かれたら答えます。「お前もな」

2011年3月11日のあの瞬間、僕は築50年の古家が崩れないかと怯えていた

本コラムの初回でも書いたように、しがないフリーランス稼業の僕は、東京での住まいは“絶対賃貸派”を宣言し実行しています。
2011年当時は、3年間限定の定期契約で借りていた築50年近い一軒家に住んでいました。
その古家は経年変化で各所がそれなりに傷んではいましたが、広い庭を望む縁側と、襖・障子、鴨居・欄間、板の間などがある和室中心のサザエさんちのような家で、とても気に入っていました。

2011年当時住んでいた家のリビングと仕事部屋。
2011年当時住んでいた家のリビングと仕事部屋。

僕は2階に増築されたサンルームを自分の部屋と定め、いつもそこで仕事をしていました。
あの瞬間も……。
はじめはカタカタと小さな揺れで、じきに収まるだろうと思っていました。でも次第に揺れ方は激しくなり、棚から本がバラバラと落ちてきたので、僕はとっさにベランダへと逃れました。
僕の家がある東京23区西部は震度5弱の揺れだったそうですが、古い木造家屋だったからでしょうか、体感的にはもっと大きく感じました。

1995年に発生した大地震のニュース映像が頭をよぎり、我が家はつぶれてしまうのではないかと心配になってきました。
阪神淡路大震災では、直下型地震の激しい揺れに耐えきれず倒壊したのは古い木造家屋が中心。特に重い瓦屋根を乗せた和風の家は、上から押しつぶされるように一階部分が崩れていました。

もう少し揺れが大きくなったら、この家は絶対につぶれる。
2階のベランダにいるから建物の下敷きにはならないかもしれないけど、家もろとも倒れたら大怪我は免れられない。
ならば今のうちに、庭に飛び降りるか。
ベランダの柵に手をかけ、額に浮かんでくる汗を感じながら決断のタイミングをうかがっていたら、揺れは徐々に収まってきました。

「ああ助かった……」
物が散乱した部屋を眺めがら、2〜3分間は呆然としていました。
我に返ったのは、来客を知らせるチャイムの音が鳴ったからです。
こんなときに誰? といぶかしみながらインターホンを取ると「宅急便でーす。お荷物お持ちしましたー」と、この地区担当のいつものニイちゃんの、のんきな声が聞こえました。
ハンコを持って門に向かうと、宅急便さんはAmazonの段ボール箱を抱えて待ち受けています。
中身は先日僕が発注したマンガ、サライネス著『誰も寝てはならぬ』(14巻)に違いありません。
早く読みたくて待っていたマンガではありますが、それはまったく緊急性のない代物です。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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