よみタイ

「備蓄食品の賞味期限切れ経験あり」は65%以上! 震災から10年、今こそ知るべき非常食の管理法

「よみタイ」では、2月から食品ロス問題ジャーナリスト・井出留美さんによる新連載「捨てない食卓」が始まりました。
コロナ禍によって自宅で料理をする人が増えている今、せっかく買った食材をムダなく使い切る習慣を身につけ、地球にもお財布にも優しい生活にシフトチェンジしていくことを目指す連載です。

そんな新連載開始を記念し、今回は、著者の井出さんに食品ロス問題についての基礎知識を教えていただきました。
また、東日本大震災から10年を迎え、災害用の備蓄食品の廃棄問題についても考えます。

(構成/よみタイ編集部)

食料生産量の3分の1が捨てられている

――最近よく耳にする「食品ロス」という言葉。そもそもどういう意味で、どういった問題があるのでしょうか。

食品ロスとは、期限が近い、缶が少しへこんだなど、様々な理由で、食べられるのに捨てられてしまう食品のことを指します。
現在、世界では13億トンもの食品ロスがあります。「食料生産量の3分の1が捨てられている」のが現実です。
なんとももったいなくて、理不尽な話ではないでしょうか。

冷蔵庫の奥から賞味期限切れの食べ物が。そんな経験がある人は多いはず。
冷蔵庫の奥から賞味期限切れの食べ物が。そんな経験がある人は多いはず。

――たしかにもったいないですね。ただ、捨てられているとはいえ、その分、経済は回っているという考え方はできないのでしょうか。

目先の経済を回しても、たった一つしかない地球が失われては取り返しがつきませんよね。私たちは、自然の恵みがあってこそ経済を循環させることができています。
現在は、食料を生産し、それを捨てるために、たくさんの地球資源が失われている状況です。
また、2050年には世界の人口が98億人にまで増加すると予測され、現在の2倍近い食料が必要になるといわれています。
しかし、地球温暖化等の影響で、食料の生産量は下がる見込みです。
地球上で生きる私たち一人ひとりが、今ある資源を守りながら生活していかなければならないのです。

もっと身近な生活に引き寄せて考えても、一生懸命働いたお金で買った食べ物を冷蔵庫の奥にしまったまま賞味期限を切らしてしまい、捨てる。これって、すごくムダですよね。
食べ物を捨てない生活をすることで、ムダにするお金や時間を減らすことにつながって、シンプルに幸せに、暮らしを楽しむことができるようになるのでは、と思います。

――日本における食品ロスの現状についても教えてください。

日本では1年間に約612万トンの食品ロスが発生しています(2017年、農林水産省・環境省調べ)。
そして、その半数近くにあたる284万トンは、一般家庭から出ています。

――食料を扱う企業に国が規制をかけたりするだけでは解決しないということですね。

そうです。多めに作ってしまって食べ残したり、うっかり賞味期限を切らしてしまうなど、そういった私たちのちょっとした「もったいないけど、仕方ないね」の積み重ねが、大きなムダを生んでいるわけです。
逆にいえば、各自の意識や行動が少しずつ変わるだけで、改善が見込める課題だともいえます。

実は、実際にこの約1年、コロナウイルスの影響で人々の生活習慣に変化があったことで、家庭の食品ロスが減ってきているのです。

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井出留美

いで・るみ●食品ロス問題ジャーナリスト
奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。「食品ロス削減推進法」成立に協力した。政府・企業・国際機関・研究機関のリーダーによる世界的連合Champions12.3メンバー。
『あるものでまかなう生活』(日本経済新聞出版)、『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬社新書)など著書多数。
食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。
公式サイト●http://www.office311.jp/
Twitter●@rumiide

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