2019.4.8
電気グルーヴ~人生とは不思議なもの。僕が垣間見た若き日の彼
1986年か1987年だったか、東京・池袋の東武デパート内にある五番街というレコードショップで、ナゴムレコードの新人テクノポップバンドのトークショーを見た。異色バンドの多かったケラ(現・ケラリーノ・サンドロヴィッチ)率いるナゴムの中でも“極北”と呼ばれたそのバンドの名は「人生」。顔中白塗りで左右の目のまわりを赤と青に塗り分けたリーダー・卓球の隣で、畳というメンバーがドラえもんの扮装をし、奇声を発していた。
トークショーの終わりに卓球が「これから、新宿ミロードのモザイク通りで無料ライブやりまーす。お前ら絶対来てねー!」と呼びかけたので、大喜びで観にいった。五番街のトークショーは30人くらいしか来ていなかったが、モザイク通りの特設会場にはナゴムギャルを中心に100人くらいは集まっていただろうか。
畳三郎ことドラえもんことピエール瀧はキンタマの歌で踊っていた
人生のほかにグレイトリッチーズというバンドと、「北海道からやってきた女の子バンド」との紹介で、インディーズデビューしたばかりのゴーバンズが出演した。
ゴーバンズの可愛らしさにはクラクラしたし、全編カラオケでキテレツな曲を歌い踊る人生はとにかく衝撃だった。その頃の代表曲は「オール・ナイト・ロング」。
歌詞は、♪キンタマが右に寄っちゃった、ハイ、オールナイトロング♪というものだった。
ゴーバンズはその後、大ブレイク。1990年にリリースした『あいにきて I・NEED・YOU!』がアルペンのCMソングになり、その冬は街中で流れまくった。
そして人生は電気グルーヴと名を変え、日本のテクノ界をリードするようになる。
あのドラえもんが、現在のピエール瀧だ。
「大物俳優の薬物事件」、「なぜ卓球は謝罪しないのか」などと連日大騒ぎしているのを見るにつけ、アホかと思う。
本人たちはあの頃と全然変わっていないし、世間の大多数もそんな彼らだから面白がっていたはずなのに。
凡人には到達できない向こうの世界を見せてくれるのがアーティストなんじゃない?とも思うし。
昔からのファンは、連日の卓球氏のツイートを見てゲラゲラ笑いながらも胸を熱くしているし、瀧氏には、湾岸署を勝新のコスプレでムーンウォークしながら出てきてから謝罪するのを期待していたと思う。
でもさすがにそれは……ね。