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電気グルーヴ~人生とは不思議なもの。僕が垣間見た若き日の彼

グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう―― そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

1986年か1987年だったか、東京・池袋の東武デパート内にある五番街というレコードショップで、ナゴムレコードの新人テクノポップバンドのトークショーを見た。異色バンドの多かったケラ(現・ケラリーノ・サンドロヴィッチ)率いるナゴムの中でも“極北”と呼ばれたそのバンドの名は「人生」。顔中白塗りで左右の目のまわりを赤と青に塗り分けたリーダー・卓球の隣で、畳というメンバーがドラえもんの扮装をし、奇声を発していた。

トークショーの終わりに卓球が「これから、新宿ミロードのモザイク通りで無料ライブやりまーす。お前ら絶対来てねー!」と呼びかけたので、大喜びで観にいった。五番街のトークショーは30人くらいしか来ていなかったが、モザイク通りの特設会場にはナゴムギャルを中心に100人くらいは集まっていただろうか。

畳三郎ことドラえもんことピエール瀧はキンタマの歌で踊っていた

人生のほかにグレイトリッチーズというバンドと、「北海道からやってきた女の子バンド」との紹介で、インディーズデビューしたばかりのゴーバンズが出演した。
ゴーバンズの可愛らしさにはクラクラしたし、全編カラオケでキテレツな曲を歌い踊る人生はとにかく衝撃だった。その頃の代表曲は「オール・ナイト・ロング」。
歌詞は、♪キンタマが右に寄っちゃった、ハイ、オールナイトロング♪というものだった。

ゴーバンズはその後、大ブレイク。1990年にリリースした『あいにきて I・NEED・YOU!』がアルペンのCMソングになり、その冬は街中で流れまくった。

そして人生は電気グルーヴと名を変え、日本のテクノ界をリードするようになる。
あのドラえもんが、現在のピエール瀧だ。
「大物俳優の薬物事件」、「なぜ卓球は謝罪しないのか」などと連日大騒ぎしているのを見るにつけ、アホかと思う。

本人たちはあの頃と全然変わっていないし、世間の大多数もそんな彼らだから面白がっていたはずなのに。
凡人には到達できない向こうの世界を見せてくれるのがアーティストなんじゃない?とも思うし。

昔からのファンは、連日の卓球氏のツイートを見てゲラゲラ笑いながらも胸を熱くしているし、瀧氏には、湾岸署を勝新のコスプレでムーンウォークしながら出てきてから謝罪するのを期待していたと思う。
でもさすがにそれは……ね。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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