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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ベルト~目につかないところにこっそりミックスする自分のシンボル

かれこれ25年くらい大事に使い続けているベルトがある。
上下二連でピラミッド型のスタッズが打たれた、パンクス御用達のいわゆる“鋲ベルト”だ。
どこのブランドのものというわけではなく、いつどこで手に入れたのかも正確には覚えていない。多分、通りすがりのパンクショップで買ったものだったと思う。

会社勤めをしていた頃も、ずっと愛用していた。サラリーマンといっても雑誌編集者だったので、服装は割と自由が許されたから、ノーネクタイでシャツをパンツの外にアウトし、その下に密かに鋲ベルトをしていたのだ。

僕は中学生のときにパンクの洗礼を受けた。
でもそれ以降は、それなりに色々なジャンルの音楽を聴いてきた。ファッションも10代のときにほんの一瞬だけパンクスを志したが、そのあとは色々な方向を試してきた。

でも根はパンク。だからベルトは鋲ベルト。

ジジイになっても鋲ベルト。棺桶に入るときも鋲ベルト

日本を代表するパンクバンドの一つ、ラフィンノーズの「PUNK ALWAYS」という曲では、♪パンク・オールウェイズ・オン・マイ・マインド♪と歌われている。いつも心にパンクを。僕もその精神を、このベルトに託しているのかもしれない。

グリズリー世代の皆さんに、鋲ベルトをプッシュしているわけではない。
でも、小物でもアクセサリーでもなんでもいいので、 “自分のシンボル”を一つだけ、常に身につけることをおすすめしたい。
僕のようなベルトであったり、あるいはネックレスであったり、あまり目立たないものがいいだろう。その方が飽きないし、どんなテイストの服にも合わせられる。

僕はこのベルトをしてジジイになり、棺桶に入るつもりだ。
きっと鋲は焼け残るが。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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