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夏休み中がチャンス! 子どもを「理科嫌い」にさせないために……親の関わり方と家庭でできる身近な工夫

指導歴20年以上! 予約のとれない「不登校専門のオンライン家庭教師」として知られる植木和実さんが、最小限の努力で、最大限の効果が得られる【小学校6年間の勉強を1年で習得する方法】を伝授する連載。

前回は2回にわたり「英語編」をお届けしました。
今回からは理科編。前編では、理科を学ぶうえで大切な「動機」の育て方をお伝えします。

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「日常生活に役立つ」はずなのに、あまり好かれていない理科

文部科学省の発表によると、IEA(国際教育到達度評価学会)が進めている TIMSS(Trends in International Mathematics and Science Study)と呼ばれる算数・数学及び理科の到達度に関する国際的な調査では、その平均点において⼩・中学⽣いずれも、引き続き⾼い⽔準を維持していることが報告されました。2023年に行われた調査には、⽇本から⼩学4年⽣3,875⼈(141校)、中学2年⽣3,905⼈(133校)が参加し、全体では、⼩学校は 58か国・地域から約36万⼈、中学校は44か国・地域から約30万⼈が参加、その結果、小学校の算数では58か国中5位、中学校の数学では44か国中4位、小学校の理科では6位、中学校の理科では3位でした。また、「理科を勉強すると、⽇常⽣活に役⽴つ」と考える中学⽣の割合は78%で、2011年以降顕著な増加傾向を示しています。

このように国際比較の到達度テストで高得点を取得し、「理科を勉強すると、⽇常⽣活に役⽴つ」と考えている生徒たちですが、「理科が好き」という生徒は少数派で、2010年9月に小学生に対して行った学研教育総合研究所の調査によると、最も好きな教科に「理科」を挙げたのは、6年生男子で14.0%であったのに対し、同女子では2.0%しかおらず、最も嫌いな教科に「理科」を挙げたのは、同男子が4.0%であったのに対し、同女子では7.0%と多かったと報告されています。

理科を嫌いにならずに、中学に入って得意教科としていくためには、どんな準備をすればよいか。「ゆっくり学ぶ子どもたちが小学校6年間の理科の勉強を1年で習得する方法」、1回目の今回は、知っておきたい理科についてのマインドセットと、好きを育むための工夫について、次回は、中学・高校でも通用する具体的な勉強方法について、お伝えしていきます。

写真はイメージです。(写真AC)
写真はイメージです。(写真AC)

理科を通して、人間の何千年もの営みを見ることができる

突然ですが、理科とはどんな教科でしょうか。子どもたちに「理科ってどんな教科? 何のために勉強するの?」と聞かれたら、どんなふうに答えるでしょうか。好奇心旺盛で行動力があり、仕組みやモノづくりが好きだったりする生徒たちの中には、そんなことを改めて考えなくても「理科が好き!」という子たちがいますが、そうでない子でも、何のために勉強するかを理解すると、少しずつ興味を持ち始めます。

私は、生徒に理科を初めて教えるとき、「理科は愛のカタマリなんだよ」と話すことにしています。理科は、「よく観察して得られた発見や法則を、他の人が使いやすいように工夫して伝えたり、そこから何かをつくったりするための知識と技術を学ぶ」ものです。
身の回りを見渡すと、照明器具や時計、カレンダー、クーラー、デバイス、机、水筒、割り箸、天気予報、服、食品、医療や薬、サプリメントなど、私たちの生活を安全で豊かにするためのものが溢れています。これら一つひとつが、使う人の幸せを願い、モノづくりに携わった人たちの観察や工夫、先人たちの知見の積み重ねでできています。
歴史で習う古代文明は、大きな河の流域で起こりました。時計もカレンダーもない時代、大河の氾濫で大切なものを失った人たちが、少しでも悲しい思いを減らせるように、天体や太陽の位置から氾濫の時期を予測し、それがカレンダーのもととなりました。後世の人たちへ情報を伝えたいという気持ちが文字を生み出し、文明へと発展していったのかもしれません。河の氾濫で運ばれてきた肥沃な土を利用して農耕や牧畜が始まり、大切な誰かの幸せのために観察と工夫を繰り返し、文字によって伝えられた情報を積み重ねながら、現代に至る豊かな時代を創ってきたのです。
食卓に並ぶカレーを例にとっても、ジャガイモやにんじん、玉ねぎの品種を作ってくれた方、手塩にかけて育てて出荷してくれた農家の方、トラックで丁寧に輸送してくれた方、スーパーに並べ衛生的に管理してくれた方、家族の健康を考えて食材を購入し、美味しく調理してくれたご家族……、書ききれないほど多くの、誰かの幸せを願う人たちの観察や工夫、先人たちの知見の積み重ねでできています。たくさんの携わってくださった方々の愛があって、私たちはそれをいただくことができています。
理科を学ぶと、目の前のカレーを見ても、そこに至るまでのつながりを見ることができるようになります。そして、それらを豊かに使わせていただく側にも、誰かの幸せのためにつくりだす側の人にもなれます。そのための観察する技術や、基礎となる知識、今までに確立されてきた仕組み、確かめ方、問題解決方法を学ぶのが理科という教科です。

子どもを「理科好き」にするために家庭でできる工夫

「理科好き」な子はどのような性格・行動特性を持っているのかを調べた、2010年9月に小学生に対して行った学研教育総合研究所の調査では、理科を「とても好き」な子の8割以上が「やり始めたら集中して取り組む」「好奇心旺盛」「思いついたら、自分で試してみる」「ものごとの仕組みを知りたがる」といった性格や行動特性を持っており、なかでも「ものごとの仕組みを知りたがる」という傾向が顕著に高いことが示されています。逆に言えば、「ものごとの仕組みを知りたいと思うこと」が、理科好きへの第一歩なのかもしれません。その意味で、大切な誰かを思いながら観察や工夫をすることを通し、現代まで積み重ねられてきた、前述のような見えないつながりを考えてみることは、大きな意味を持つものであるように思っています。

さらに、同調査では子どもが「理科好き」になるために家族はどのように関わればよいのか、という調査を行なっており、子どもの理科的な興味・関心に理解を示す大人の家族が「いない」家庭において子どもが「理科好き」である割合が55.4%であるのに対し、「誰か一人はいる」場合には75.9%、「二人以上いる」場合には83.0%であったことが示されました。子どもが理科的なことに興味・関心を持ったとき、家庭の中に理解を示す大人がいる場合といない場合とを比べると、そうした大人がひとりでもいるほうが「理科好き」な子どもが多い傾向が見られました。
しかし、「子どもの理科的な興味・関心に理解を示す」と言っても、日々忙しい親の側からすると、それは時に忍耐を伴います。「ダンゴムシを100匹まで増やしたい」「イグアナとお風呂に入ってもいい?」「時計の仕組みを知りたくて分解したけれど元に戻せない」「あったかいプリンが食べたくて電子レンジで温めたらデロデロに溶けてしまった」「低温“殺菌”なのに、乳酸菌が生きているってなんで?」「ママのお母さんは、おばあちゃん。おばあちゃんのお母さんはひいおばあちゃん、じゃあ、最初の人って誰?」等々、子どもたちの理科的な興味・関心からの質問や行動は、時に『おとなの大ピンチ図鑑』の様相を呈します。もちろん、全部に応える必要はありません。無理をする必要もありません。代わりに、「どうしてそう考えたの?」と聞いてあげてください。その言葉の一歩奥にある思いを知ろうとすることこそ、理科の第一歩だからです。そして、もし思いを共有できるなら、ぜひ一緒に取り組んでみましょう。

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植木和実

うえき・かづみ●1976年生まれ。不登校専門オンラインプロ家庭教師イエローシードラビー代表。
東京大学大学農学部卒業後、社会人生活を経て、東京大学大学院新領域創成科学研究科修士課程入学。同大大学院博士課程を経て(株)ライフサイエンス社入社。
ダウン症の子どもを出産後、育児を両立する方法として家庭教師の道へ。大学時代からの通算家庭教師歴は20年以上。認定心理士の資格を取得。

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