2019.4.1
ルーズシルエット~我々グリズリー世代こそが胸を張って着るべきダブダブ服
ここのところ若者の間では、ルーズシルエットが流行している。
トップスもボトムスも、オーバーサイズでダルダルっと着るのが今っぽいのだ。最近は少し揺り戻しもあるようだが、全体的な傾向はまだまだルーズ優勢で間違いない。
ところで、ルーズな着こなしは今の若者の専売特許ではない。
グリズリー世代にとっては、まず1990年代のBボーイが思い出されるだろう。あの頃はサイズがでかければでかいほどヤバいという風潮があり、XXLとかXXXLなんていう服に果敢に挑戦するやつもいた。
1980年代以降、アメリカ発信で世界中にブームが広がったスケーターの着こなしもルーズだった。彼らはスケートで激しいトリックを決めるため、動きやすいオーバーサイズの服を好んだ。
おっさんの若作りじゃない。君たちが真似したんだ
僕はヒップホップには傾倒しなかったしスケートボードもやらなかったが、学生だった1990年頃から数年の間、かなりダブダブの服を着ていた。
ザ・ストーン・ローゼズやハッピー・マンデーズといったダンサブルなマンチェスターロック(マッドチェスター)のバンドに入れ込み、彼らの着こなしを真似て、バギーパンツにオーバーサイズのサッカーシャツなどを合わせていたのだ。
マッドチェスターのルーズな着こなしは、さらに過去のイギリスのストリートスタイルであるカジュアルズやソウルボーイズの影響を受けているのだが、ここに突っ込んでいくと話が長くなる。詳しく知りたい方は、ぜひ拙著『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』をお読みいただきたい。
今の若者のスタイルは、過去のそうしたストリートスタイルから大なり小なり影響を受けている。だから我々の世代も臆することなく、トレンドのシルエットで決めていいはずだ。
「君たちの方が真似したんだよ」と言って。
でもひとつだけ注意すべきなのは、出っ腹を隠す目的でルーズな服を着るのはやめた方がいいということ。うまく腹を隠せたと思っているのは本人だけで、傍目からはイタいおじさんにしか見えない。
太っている人はむしろジャストフィットかタイトシルエットな服を着て、全体のボリュームをダウンさせた方がかっこいい。腹の問題はひとまず忘れよう。