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田邊博崇  世界的クリエイティブエージェンシーCEOとして描く未来【実録・メンズノンノモデル 第7回 後編】

1986年5月9日に、女性ファッション誌『non-no』の男性版として創刊した『MEN’S NON-NO』。阿部寛さんなど俳優やアーティストを数多く輩出してきた同誌の創刊40年を記念して、本連載では、かつて専属モデルとして誌面に登場し、その後、様々なフィールドへと羽ばたいていった「メンズノンノモデル」たちの“現在”の姿と声をお届けしていく。常識にとらわれず、大きな変化をも恐れない彼らのしなやかな生き方から、先を見通しづらい現代を”自分らしく”生き抜くヒントを受け取ってほしい。

今回のゲストは、世界最大級のコンサルティング企業、アクセンチュア傘下のクリエイティブエージェンシーDroga5 TokyoのCEOを務める田邊博崇(たなべひろたか)さん。メンズノンノモデル時代のユニークなエピソードが満載の 前編に続き、後編では、クリエイティブ業界の未来に向けて抱くビジョンを語ってくれた。

取材・文/徳原 海  撮影/山田 陽

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日本に元気がない。だからこそ「クリエイティブの本質」に本気で向き合う

 メンズノンノモデルを卒業後、博報堂に入社する。モデル業を通じて強く惹かれていった広告業界へと飛び込んだ。以降、クライアントワークのスペシャリストとして18年のキャリアを重ね、2018年、博報堂傘下にある気鋭のクリエイティブエージェンシー、SIXに加入する。

田邊博崇(以下、田邊)  博報堂ではアカウントプラナーとして、クライアントを支援する業務を担当しました。様々な業種のクライアントと一緒にお仕事をさせていただく中で何よりも学んだのは、クリエイティブは、ムービーやグラフィックを制作するだけではなく、商品開発や企業の在り方そのものにも活かすことができるということ。だから、クリエイターに内在するクリエイティビティをもっと積極的に拡張していかないと、これからの時代はクリエイティブ産業の発展は望めないのではということを考えたんです。「クリエイティブの本質」というものともっと本気で向き合ってみたい。そんな想いで博報堂を離れ、SIXに移籍しました。SIXでは、クリエイティブプロデューサーとして企業のトップと向き合いながら、課題解決をリードしたり、クリエイティブを起点とした事業創造などにも携わることができました。

 2023年には世界最大級のコンサルティング企業として知られるアクセンチュアに転職。2019年から同社の傘下に入ったニューヨーク発のクリエイティブエージェンシー、Droga5のCOO/President(現在はCEO)に就任した。以来、クリエイティブの領域とコンサルティング、さらにはデジタルの知見を掛け合わせながら、様々な企業の事業戦略やブランディングに深く携わっている。Droga5のニューヨーク本部との行き来も多い。

田邊 僕が幼い頃に見ていた日本は、今よりもっと元気があった。車や家電を代表とする産業の発展も著しくて、目にするものや聞こえてくることのすべてに勢いを感じ、子どもながらに「日本はなんてすごい国なんだ」と思っていたわけです。その勢いが、近年では停滞してしまっているように感じてならないのは僕だけではないはず。人口も減っていくこれからの時代こそ、日本人ならではの工夫やアイデアが必要だと思っていて、そのクリエイティビティこそ今後の発展の鍵になると信じています。アクセンチュア、Droga5で僕が実現したいことは、日本のブランドがグローバル社会で存在感を示すことをクリエイティビティを軸に後押しすることなんです。「こうやったら超素敵!」という時代の価値観に共鳴するアイデアを形にする。儲かる、儲からない以前に、「これがあると誰がどんな風に喜ぶだろう」「これがあることで世の中がどんな風に前進するんだろう」というイメージのもとで、クリエイティブディレクターやブランドストラテジストたちを始めとする多くのスタッフの知恵を結集しながら、ビジネス領域におけるクリエイティビティの発揮を目指しています。

事業の発展に必要なのは、「打ち上げ花火」ではなく「蓄積」

田邊 広告をいくらかっこよくしても、じつが伴っていないと事業はうまくいきません。打ち上げ花火のように一時的にパッと盛り上がることよりも、大切なのは蓄積。クリエイティビティあふれるアクションのひとつひとつが、よりそのブランドらしい活動として蓄積されていけば、そのブランドの性質やキャラクターが定められボールドになる。この流れを、事業戦略から事業運営、マーケティングまで一貫して作っていくべきだと思っています。そうやって日本のブランドが強くなっていけば、いずれは僕が子どもの頃に感じていた日本の勢いが戻ってくるはず。クリエイティビティを拡張していくことが、最終的には日本のGDP を上げたり、世の中の活力というところに繋がっていけばいいなと思って仕事をしています。

 その上で、日本のこれからに大きな可能性を感じているのだという。

田邊 日本人って、世界でいちばん「世のため人のため」に工夫ができる人たちだと思っているんです。例えば「自分が考えたこのサービスがあれば、田舎で一人暮らしをしているおばあちゃんが安心して生活できるようになるはず」といった具合に。「売るために」じゃなくて、「誰かの喜びのために」役に立とうみたいな。ちょっと青臭いかもしれまんせんが、そういう思いやりの心が社会を前進させると、僕は信じているんです。

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徳原海

大阪府出身。メンズノンノ編集部でのアルバイト勤務を経て2006年からフリーランスの編集者として活動。メンズノンノ、UOMOなどの雑誌をはじめ、現在は様々なファッションブランドやスポーツブランドの広告ビジュアル制作なども手がける。著書に「パラアスリート谷真海 切り拓くチカラ」(集英社)、写真と文で綴った欧州フットボール紀行「the Other Side」(ブートレグ出版)など。

Instagram :@kai.tokuhara

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