2024.10.25
アポロの後継、アルテミス計画を徹底解説!【前編】冷戦以降の国際情勢と宇宙開発の関係とは?
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アルテミス計画への参加国は、執筆時点(2024年10月)で45カ国の同盟となっています。「アルテミス合意」と呼ばれる参加の意思表明の形式が取られていて、アメリカをはじめとする複数の国々がこれに署名しています。もちろん日本も参加して、他にもカナダ、イギリス、UAEなどが参加しています。
アポロ計画の時はアメリカ単体での取り組みでしたが、アルテミス計画では多くの国での協力体制で進んでいくのが特徴です。各国が取り組める内容で貢献していきながら、次世代の月面探査を推進していきます。
ただ、世界が一丸となっているかというとそうではなく、中国とロシアが中心となって進めている月面研究基地計画(ILRS)という対抗プロジェクトもあります。
特に今はロシアの不安定な情勢もあり中国が主導していて、南アフリカやベネズエラといった勢力を取り込んでいます。アポロ時代と同じで国際的な対立構造が発生しており、現在も国際情勢が開発に影響を与えています。
アルテミス計画での国際的な協力体制の例を見ると、月の周りに建設を予定している宇宙ステーションには、全体機能の設計と機能実装はアメリカ、そこへの物資の補給や居住空間のバッテリーや冷却機能などの基本設備を日本、搭載されるロボットアームがカナダ、宇宙ステーションと宇宙空間などのエリアを区切るエアロック機能をUAE、といったように分業制のような形が取られている状態です。
国際宇宙ステーションで行われてきたような協力体制がベースとなり、月面探査は国際的な“共創”で進んでいきます。
こういった連携体制は、国の機関レベルの話だけではなく、民間を巻き込んだ動きにも発展しています。
ここでは“競争”が技術力の向上につながっています。この流れをうまく作ったのはアメリカです。NASAは、自分達での宇宙開発は月より先の火星といった他の惑星探査に集中させ、月の探査や地球周辺の宇宙開発は民間に予算を振り分けて競争力を持たせて開発を進めているのです。
このように今の宇宙開発は昔のアメリカ vs. ロシアとは違う形となっており、特にアルテミス計画は「競争と共創」がテーマとなっています。私たちがこれまで感じていたスピードをはるかに超えて、宇宙開発が進んでいく様子を実感しながら生きていけるのは幸運なことだなと思います。
アルテミス計画はまだまだ奥深いので、次の記事ではアルテミス計画で期待される科学的成果について整理していこうと思います。
宮城県仙台市にある「Great Dane Brewing」の「オクトーバーフェスト」。オクトーバーフェストとは元々は王家の結婚パーティーから、豊穣の祭りへと発展して行ったというお祭り。9月から10月に飲むビールは「オクトーバーフェストビール」と呼ぶそうで、この時期にピッタリの一本です。爽やかな苦味が特徴なラガービールは、月がきれいに映える涼しい秋の夜におすすめ。通販サイト等で見かけたらぜひ。
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次回連載第25回は11月8日(金)公開予定です。
参考資料
DARPA 軍民両用技術が寄与する 米国軍産学の際限なき増強循環/季刊 経済理論 第55巻第3号 井上弘基(機械振興協会経済研究所)
米NASAとDARPA 宇宙探査用原子力ロケット・エンジン実証へ/原子力産業新聞 2023年1月27日
中国主導の月面基地計画にタイも参加–海外からの参加は8カ国に/UchuBiz 2024年4月8日
Canadian Space Agency to build robotic arms for lunar space station/Global News 2017/9/29
UAEの宇宙機関が月周回有人拠点「ゲートウェイ」のエアロックを提供へ 有人宇宙開発で協力進む/sorae 2024年1月10日
月周回有人拠点「Gateway」に日本初の技術が貢献。その開発の内容は?/JAXA プロジェクトリレートーク 2023年3月29日
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