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国際宇宙ステーションで宇宙飛行士は何をしている? 「作業員」としても優秀な彼らの仕事を紹介!

1日10分、毎日更新されるポッドキャスト「宇宙ばなし」が人気を呼び、注目を集める佐々木亮さんの新連載がスタート!

独立行政法人理化学研究所、NASAの研究員として研究に携わった経験と、天文学分野で博士号を取得した知見を活かし、最新の宇宙トピックを「酒のつまみの話」になるくらい親しみやすく解説。宇宙と同じくらいお酒も愛する佐々木さんが、記事にあわせておすすめの一杯もピックアップします。

連載第3回目は、宇宙飛行士の「仕事」について。
国際宇宙ステーションの存在は知っていても、そこでは毎日どんなことが行われているのか、具体的には知らない人も多いはず。
今回は筆者が注目するISS(国際宇宙ステーション)での実験内容と、そこでの宇宙飛行士の仕事について解説します。

1日の終わりに、リラックスしながら夜空のその先の世界へ思いをはせてください。

第3回 「国際宇宙ステーションでの仕事」のはなし

華々しい存在でも、求められるのは地道かつ正確な仕事! ”作業員”としての宇宙飛行士の姿

「宇宙飛行士は”作業員”である」と声を大にして、僕は音声配信を通して伝えてきました。2022年に約1年間を通して実施されたJAXAの宇宙飛行士選抜試験は記憶に新しいです。日本中から応募があり、最終的に2名の宇宙飛行士が選ばれましたが、その倍率はなんと2,000倍以上。注目してほしいのは「宇宙飛行士」というキラキラした存在ではなく、「宇宙飛行士が何をしているか?」です。ここに宇宙を楽しむ醍醐味があります。

今の宇宙飛行士たちは、宇宙ステーションでの長期滞在を経験します。なぜ、宇宙ステーションに行くのでしょうか? それは、宇宙ステーションは、無重力の環境が提供され、地球上の環境下ではできないユニークな実験が多くできる実験施設だからです。ここでしかできない実験を進めるために、宇宙飛行士は宇宙へ赴き、実作業を担います。その作業内容は幅広く、新たな物質を作りだしたり、化学反応を見たり、チャレンジングな内容ばかりです。

国際宇宙ステーションのイメージ図  画像提供/NASA
国際宇宙ステーションのイメージ図  画像提供/NASA

無重力下では、地球上では当たり前だと思われている動きとは異なることが多くあります。たとえば、液体の流れ方や物質の燃え方などです。地上にいたら何とも思わないですが、実は重力はいろんなところに作用しています。その重力から逃れ、より自然な状態を観察することで、地球上では取得が難しいデータや現象が得られる。これらは新たな科学的知見への鍵を握っています。今回は実際に国際宇宙ステーションで行われている実験内容を見ていきながら、宇宙飛行士の「仕事」に迫っていきます。まずは無重力で燃える広がる炎の実験です。

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新刊紹介

佐々木亮

ささき・りょう
理学博士。独立行政法人理化学研究所、NASAの研究員として研究に携わり、その経験と知見を生かし、ポッドキャスト「佐々木亮の宇宙ばなし」を毎日配信している。旬の宇宙トピックスを親しみやすく解説する内容で注目を集め、Apple Podcast日本ランキング3位を達成。第3回Japan Podcast Awardsも受賞する。現在はデータサイエンティスト、中央大学講師として活動している。
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