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日本初の月面着陸を目指す! 「SLIM」が宇宙開発の未来を変える!?

1日10分、毎日更新されるポッドキャスト「宇宙ばなし」が人気を呼び、注目を集める佐々木亮さん。

この連載では、独立行政法人理化学研究所、NASAの研究員として研究に携わった経験と、天文学分野で博士号を取得した知見を活かし、最新の宇宙トピックを「酒のつまみの話」になるくらい親しみやすく解説します。そして、宇宙と同じくらいお酒も愛する佐々木さんが、記事にあわせておすすめの一杯もピックアップ。

「小型月面着陸実証機 SLIM」が今、月を目指していることを知っていますか? 月面着陸が成功すれば日本初となるだけでなく、今後の世界的な宇宙開発にも大きな影響をもたらすと言われています。今回はこのSLIMの役割について徹底解説!
さらに月について興味が沸いた人は、佐々木さんのポッドキャストの月特集も必聴です。

第5回「日本初の月面着陸」のはなし

今最も注目度の高いミッション、それがSLIM!

世界中の宇宙開発者の目線は今、月に向かっています。アポロ計画で月面に着陸してから50年以上が経ち、その意志を継ぐアルテミス計画と呼ばれるプロジェクトが月への機運を盛り上げていて、各国の宇宙機関が連携して動いている現状があるのです。

その中で日本が世界に対してユニークな存在を発揮し得る取り組みの一つが、JAXAが主導する「小型月着陸実証機 SLIM(スリム)」ミッション。なんとこれは、約16年もの時を経て、日本の月探査のバトンを受け継ぐプロジェクトでもあるのです。

1969年7月、アポロ 11 号から撮影された、月の地平線と地球の姿 写真提供/NASA
1969年7月、アポロ 11 号から撮影された、月の地平線と地球の姿 写真提供/NASA

この「小型月着陸実証機 SLIM(スリム)」は2023年9月にH2Aロケットによって打ち上げられ、日本初の月面着陸を成功させるために、現在月へ向かっている注目度の高いミッションです。

この成否は、今後の世界の月面探査の流れの中で日本のポジションを左右する重要性を持っています。そして、月面着陸へのチャレンジはなんとあと数日後、2024年1月20日を予定しています。

まさにこれから日本が宇宙への新たな一歩を踏み出そうとしている中で、今回はSLIMがどういう角度で宇宙開発にインパクトを残していく可能性があるのかを紹介していきます。

SLIMの月面着陸のイメージ図 画像提供/JAXA
SLIMの月面着陸のイメージ図 画像提供/JAXA

世界中が月を目指す理由の大きな理由は、「月資源」の取得です。その資源としてはこの連載の第1回で書いた水だったり、ヘリウム3、鉱物などがあります。これらを利用することで、月への移住や、そこを拠点とした新たな宇宙探査などを推し進めることが検討されています。

そのためには地球から月へ、今よりも格段に簡単に行くための技術が必要。具体的には地球からの輸送手段となるロケットや宇宙船、そして月に降り立つための着陸機などの開発が、ハードとソフトの両面で急務となっているのです。

今、その一歩として着陸技術の実証が世界中で活発に行われています。

月面に着陸するのは、想像以上に大変です。実際に2022~2023年で日本の月面着陸の取り組みは「OMOTENASHI(JAXA)」「HAKUTO-R(ispace)」の2つのミッションでおこなわれたものの、その両者共に失敗に終わりました。その難しさの1つは、月に大気がないことです。

宇宙船から地球へ、宇宙飛行士を乗せて帰還するカプセルは、パラシュートを使って着地します。ヘリコプターはプロペラの回転で落下速度を調整して降下しますし、飛行機は翼についている制御板で減速しながら着陸します。
これら全てに共通していることは、「空気抵抗」を利用している点です。しかし月面では利用できる空気がないため、その難易度は一気に上がります。

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佐々木亮

ささき・りょう
理学博士。独立行政法人理化学研究所、NASAの研究員として研究に携わり、その経験と知見を生かし、ポッドキャスト「佐々木亮の宇宙ばなし」を毎日配信している。旬の宇宙トピックスを親しみやすく解説する内容で注目を集め、Apple Podcast日本ランキング3位を達成。第3回Japan Podcast Awardsも受賞する。現在はデータサイエンティスト、中央大学講師として活動している。
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