2026.9.4
三宅亮輔 漬物業とモデル・俳優業。異色の”二足のわらじ”と向き合って【実録・メンズノンノモデル 第10回 前編】
今回のゲストは、2015年の第30回メンズノンノモデルオーディションで専属モデルに選ばれ、2020年までの約5年にわたって数多くのファッションページに登場した三宅亮輔さん。現在は家業である「京つけもの新町三宅」の4代目としても日々汗を流しながら、モデル・俳優として活躍している。そんな彼の話を聞くため京都を訪れた。
取材・文・撮影/徳原 海
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実家は京都の老舗漬物店。父からは「継がなくてもいいぞ」と言われていた
メンズノンノモデルから俳優へ。三宅亮輔もまた、そんな王道ともいえるキャリアを歩んでいる1人だが、31歳になった三宅が今進もうとしているのはかなり特異な道である。彼に会うために訪ねたのは「京つけもの新町三宅本店」。京都・北大路駅近くの新町商店街で約100年にわたって営まれているその老舗漬物店が、三宅の実家である。彼は今、将来家業を継ぐ日のために東京と京都を行き来しながら店の仕事とモデル・俳優業の2足のわらじを履いている。
三宅亮輔(以下、三宅) 子供の頃から、学校から帰ってきたら店の仕事を手伝い、時には朝一番に中央市場に仕入れに行く父や祖父について行ったりもしていました。それが僕にとっては当たり前の日常でしたから、こうして今店の仕事に就いているのもごく自然な流れだと思っています。父からはずっと「店は継がなくてもいいぞ」と言われていたのに、気がつけば自分から継ぎたくなっていましたから。
2020年にメンズノンノモデルを卒業後、本格的に演技の道へ進み、ドラマ、映画などを中心に活躍の場をじわじわと広げていた中で、なぜ家業との両立を決心したのだろうか。店に対する思い入れはあったとしても、客観的に見ても掛け持ちはかなりハードルが高いように思えるが、ある心境の変化が彼を突き動かした。
三宅 モデル時代から、何事も「一本に集中すべきだ」と思っていたのですが、ここ数年で考えが変わりました。将来について何度考えを巡らせても、「僕は俳優もやりたい、モデルもやりたい、でも漬物屋もやりたい」という思いに行き着くんです。だったらひとつに絞る必要はないんじゃないかって。全部にトライすればいいし、その時々でそれぞれに対する熱量に変化があってもいい、というふうに柔軟に捉えられるようになったんです。とにかく好きなことに全力に向き合っていたら、何かが動いていくのかなって。事務所も僕のその気持ちを理解してくれて、応援してくれているのでとてもありがたいです。

「京つけもの新町三宅」の店頭に並ぶ漬物は自家製。毎日、店の奥にある作業場で代々受け継がれてきた製法で作られている。三宅はいま、3代目である父からそのノウハウを学びながら、日々漬物作りと向き合っている。京都と東京を行き来しながらの二拠点生活は間違いなくハードだが、表情には充実感が浮かぶ。
三宅 漬物屋は年末がいちばん忙しいのですが、去年はそんな中で年始から撮影が始まる映画の準備があったので、特に大変でした。店の営業が終わって、実家に帰って、子供の頃に使っていた勉強机に向かって台詞を覚えて……という感じで、倒れそうになりながら毎日を過ごしていました。そもそも自分でやると言ったことですし、どちらかが忙しくても、もう一方にマイナスになるようなことには絶対にしたくなかったから必死でしたね。でも、息抜きになると言ったら変ですけど、最近は両方の仕事に対して、以前にはなかった新鮮な感覚を得られているんです。マルチタレントと書かれることもありますけど(笑)、周りからどう思われても、今のスタンスが自分にとってベストのバランスだと確信しています。


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