2026.8.2
もしも海から歩いたら、何日かかる? ここが我が国のど真ん中!? 「日本で海岸線から一番遠い地点」【山の名&珍プレイス 第9回】
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地形的な特徴はとくになし! 測定によって発見された“その場所”
基本的にルートは沢沿いのため、登山道の左右は高くなっており、周囲の見通しは効かない。景色は少々単調で、人によっては飽きてくるかもしれないが、深い森で覆われた緑の道はじつに気持ちがよく、木陰の中、夏でも涼しく歩けるのが良い点だ。
あまり整備されていない登山道ではあるが、標識が充実しているのはありがたい。数百mごとに「海から一番遠い地点まで〇〇〇m」という看板があり、次第にその場所へ近付いていることを実感させてくれる。

稜線に近付くと谷は次第に浅くなり、周囲がだんだん明るくなってくる。そして登山道の右手が開けてくると、遠くに白いものが見えてくる。おお、あれか? あれが「日本で海岸線から一番遠い地点」なのか?


とうとう到着した「日本で海岸線から一番遠い地点」。ここは、1:静岡県富士市田子の浦港、2:新潟県上越市直江津を結んだ直線と、3:神奈川県小田原市国府津、4:新潟県糸魚川市梶屋敷を結んだ線が交差するポイントであり、1は114.853 km、2は114.854 km、3は114.862 km、4は114.866 km、ここから離れている。簡単に言えば、どこもすべて直線距離で約115km。100kmを優に超えるのだから、日本もなかなかの大きさだ。
なお、直線距離ではなく、車道でこれらと「日本で海岸線から一番遠い地点」入口までをつなぐと、もっとも遠くなるのは3で、約186km。休憩・睡眠をとらずに時速4kmで歩き続けても46.5時間、2日間弱もかかる計算だ。



地味だけど、それもまたよし! 日本で“自分がいちばん”と思える場所
ここが日本でもっとも海から遠い場所なのか……。富士山の頂上に立つと、「今現在、オレは日本でいちばん高い場所にいる」「まさにこの瞬間、オレは1億2000万人のトップだ!」などという感慨が湧いてくるものである。そういう意味では、ここも「日本でオレこそがトップ」と感じてもいいはずのスポットではある。しかし、どういうわけか、そんな感激はまったく湧きあがってこない。頂上という派手な場所に比べると、地味すぎる場所だからだろうか? だが、自分以外は誰もいない「日本で海岸線から一番遠い地点」にたたずんでいると、自分がいかに山奥で静かで贅沢な時間を過ごしているのか実感できる。富士山山頂のような感激ではないかもしれないが、こちらはこちらでじわじわと妙にうれしくなってくるのが不思議だ。


ここは「日本で海岸線から一番遠い地点」ではあるものの、入り口からはわずか2.1km。歩く距離としては、まったくもって遠くはない。そこで歩き足りない人は、最寄りの山頂である「榊山」まで足を延ばすのも悪くない。「日本で海岸線から一番遠い地点」までの谷間の道とは異なり、ほぼすべて明るい尾根上の道である。樹木のために視界は開けないものの、のんびりと散策できるだろう。また、有名な山でいえば、浅間山や蓼科山にも近く、時間に余裕があれば同じ日に登ることもできなくはない。


ぜひとも手に入れたい! 自力で到達したからこその「認定書」
さて、じつは下山してからのお楽しみがひとつある。現地で撮影した画像を郵送、メールといった方法で佐久市観光協会臼田支部に提出(または窓口で直接申請)すれば、「日本で海岸線から一番遠い地点」へ到達した“認定証”を発行してもらえるのだ。

僕が受け取った認定書によれば、令和5年(2023年)10月3日の時点で、認定番号は「4307」。これは4307人目ということなのだろうか? このように記事化して紹介しておいてなんだか、あんなに地味な場所なのに、そんなにたくさんの人が訪れたことがあるとは! しかも、僕のようにわざわざ認定書を申請する人は少数派のはずで、実際はもっと多くの人が到達していると思われるのだ。
しかし一方で、現在の登山道はいまだ踏み跡のようでしかなく、少なくても近年、多くの人が歩いたような形跡はない。そのことは実際に現地を訪れてみればわかるはずだ。佐久市は地元の名所として売り出していきたいのかもしれないが、ここはまだまだ知られざる山中の穴場なのである。自分が山深い“日本のど真ん中”ともいえる場所に立っている感覚を味わいたければ、ぜひ足を延ばしてみてもらいたい。
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次回、連載第10回は9/6(日)9:00公開予定です
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