よみタイ

CITY BOYおじさん 湖畔でデュアルライフはじめました。

五輪ロードレースコースを、普通のアラフィフおじさんが走ってみたよ

「みんな、ありがとう!!」選手の12分の1しか走っていないのに、十分感激できた

ここからが難所。
籠坂峠かごさかとうげの頂を目指し、坂道をのぼっていかなければならないのです。といっても、選手にとってはこれまでに超えてきたいくつもの峠に比べ、緩やかな上に距離も短い坂なので、まったく問題ではないようです。
ここはきっと、ライバルとの距離を縮めたり引き離したりする戦略的ポイントになるはずです。

こんな坂なんて「心配ないさー、なんでもないさー」、とライオンキングあるいは大西ライオン的な雄叫びを上げながら、僕は必死でペダルを踏んだのですが、やはりだめでした。
そもそも変速ギアのついていない自転車なので、上り坂には向いていないのです。
「なんでもないさー」の声が掠れがちになった頃、むなしく自転車を降り、約10分ほどトボトボ歩いて峠の頂を目指しました。

難所の籠坂峠
難所の籠坂峠

籠坂峠を越えると、ゴールまでの残り10数kmはひたすら下り道になります。
きっと選手たちはノーブレーキで一気に駆け降り、コーナーごとに抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げるのでしょう。
このあたりも眺めはいいのですが、さっきの峠越えで僕の疲労感はマックス。
景色を楽しむこともなく、呆然とした頭で坂をひたすらくだりました。

少し正気に戻ったところで、選手のようにノーブレーキで山をくだるのって、どんな感じなんだろうと、試しにワンコーナーだけブレーキから手を離してみました。
すると、スピードがグングン増し、次のコーナーとその先の崖が迫ってきました。
頭にふと死の予感がよぎり、人生の走馬灯が軽く回りはじめので、慌ててブレーキをかけます。
やっぱり選手というのはちょっとおかしい……、いや、鍛え抜かれたアスリートは超人としか言いようがありません。

山をくだりきったら、須走すばしりの交差点を左に曲がり、富士スピードウェイを目指します。ここらへんもずっとゆるいくだり坂なので、余裕余裕。
終わりが見えてくると脳内に快楽物質が分泌されるのか、とてもいい気分になりながら走りました。

だいぶハイになっている
だいぶハイになっている

そして、ゴール!!!
富士スピードウェイは閑散としていました。
僕が走ったのは7月上旬でしたので、まだ選手もスタッフも現地入りしていないのでしょう。
ゴール地点の静岡県は有観客の開催を予定しているので、レース当日は大きな拍手や歓声(は、いいのかな?)に迎えられ、一般人には想像もつかないような長距離を走り抜けてきた選手たちは、万巻の思いとともにゴールテープ(ってあるのかな?)を切るはずです。

みんな、ありがとう!!
みんな、ありがとう!!

男子は東京からの244kmの距離を、5〜6時間ほどで走り切るそうです。
ちなみに今回僕が走ったのはたったの21.8kmですが、1時間7分もかかりました。途中で歩いたり、道の駅でコーラを飲んだりしていたので、そんなものだと思います。

走行データ。下りが多いので結構スピードが出ていた
走行データ。下りが多いので結構スピードが出ていた

でも僕は僕なりに走り切ったことで、選手へのリスペクトの念が甚だ高まり、レース観戦がすごく楽しみになってきました。

沿道での観戦も自粛を呼びかけられているので、テレビやWEBで観るしかありません。
僕もすぐ近所にもかかわらず観戦できないなんて遺憾の極みですが、致し方ありません。
でも選手たちがあの素晴らしいコースを走るんだと考えるだけで、今からワクワクします。
とにかくお楽しみに! って、ちょっと走っただけで関係者気取りかよ、という話ですが。

ああ、疲れた……
ああ、疲れた……

連載初回「東京で生まれ東京に骨を埋めると思っていた僕が、デュアルライフを選んだ理由」はこちらから
本連載は隔週更新です。次回は8/4(水)公開予定。どうぞお楽しみに!

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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