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二宮寿朗「1980年生まれ。戦い続けるアスリート」
不惑が間近に迫る年齢になりつつも、変わらず戦い続ける1980年生まれのアスリートたちに、スポーツライター二宮寿朗氏が迫るこの連載。
中村憲剛選手田臥勇太選手館山昌平投手大黒将志選手玉田圭司選手に続く6人目のアスリートは、木村昇吾選手です。プロ野球選手として15年間活躍したのち、現在はクリケット選手として世界の最高峰を目指す、木村選手の挑戦とは――

元プロ野球選手・木村昇吾の37歳からの挑戦。最高年俸30億ともいわれるクリケットで世界を目指す!

野球からクリケットに転身して2年目。さわやかな笑顔が印象的だ。(撮影/熊谷貫)
野球からクリケットに転身して2年目。さわやかな笑顔が印象的だ。(撮影/熊谷貫)

15年のプロ野球生活を経て選んだのは、世界初となるクリケットへの転向

クビになった“アラフォーアスリート”のセカンドキャリア。

夢が終わったら、現実を考える。養う家族がいれば、アスリートの看板を取り下げて堅実な生活を選択するのが「常識」なのかもしれない。その道の指導者を選ぶ人もいれば、路線を切り替えて次のキャリアを進む人だって少なくない。

だが木村昇吾は違う。

夢が終わったら、また別の夢を追い掛けている。プロ野球の次はクリケット。世界最高峰と称されるインドの「インディアン・プレミアリーグ」(IPL)でプレーすることを新たな目標に置いている。

俊足、堅守、巧打を兼ねそろえたユーティリティープレーヤーは横浜ベイスターズ、広島カープ、西武ライオンズと15年間のプロキャリアを歩み、2017年シーズン限りでピリオドを打った。戦力外通告を受けて参加した12球団合同トライアウトでは声が掛からず、話をもらったのは社会人野球や独立リーグからの「選手兼任コーチ」しかなかった。唯一、心を揺さぶられたオファーが知人の新聞記者を介して受けたクリケット選手への転身だったという。

転身を決めてから1年半の歳月が過ぎた。

もうすっかり、クリケットのプレーヤーだ。充実の日々を送っていることは日焼けした血色のいい表情を見れば十分に伝わってくる。

転身してほどなくクリケット男子日本代表強化選手団に選出され、日本の「ワイヴァーンズ・クリケットクラブ」に所属しながら昨夏はクリケットの競技人口が世界2位というオーストラリアのクラブチームに練習参加。日本のシーズン後になる10月には再びオーストラリアに渡って、今度はリーグに出場している。そして今夏にはワールドカップで優勝経験のあるスリランカでの武者修行に入る。

夢からまた夢へ。

だが彼からすれば「夢じゃなく目標」。夢物語にチャレンジするのではなく、IPLに必ず辿り着くとの強い意欲がのぞく。

なぜクリケットだったのか?

木村は火傷しそうなほどの熱い視線をこちらに向けて語り始めた。

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二宮寿朗

にのみや・としお●スポーツライター。1972年、愛媛県生まれ。日本大学卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社し、格闘技、ラグビー、ボクシング、サッカーなどを担当。退社後、文藝春秋「Number」の編集者を経て独立。様々な現場取材で培った観察眼と対象に迫る確かな筆致には定評がある。著書に「松田直樹を忘れない」(三栄書房)、「サッカー日本代表勝つ準備」(実業之日本社、北條聡氏との共著)、「中村俊輔 サッカー覚書」(文藝春秋、共著)など。現在、スポーツ報知にて「週刊文蹴」(毎週金曜日)、Number WEBにて「サムライブル―の原材料」(不定期)を好評連載中。

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