“安心感”と“ときめき”のせめぎ合い

川村　じゃあ今の大久保さんにとって理想的な男性ってどんな人なんでしょう。

大久保　それ、この仕事してると100万回聞かれるよね(笑)。本当に聞きたいと思ってる人いるの？って感じだけど、聞かれたから答えますけどね、最近性欲が収まってきたんですよ。理想ってそことやっぱりリンクしてた部分があるのかな。だから性欲が収まってくると見方も変わってくるよね。
私ってすぐ人を見下してしまいがちな人間だから、ここはどうしても敵わないっていう部分、尊敬できるところがあるのは重要かな。
あとは、言い方が悪いけど、一緒にいて邪魔にならない人。最近は地震もあれば、雨降っただけでも大変になるし、一人でつらい思いをしている男性がいたら、安心感のために一緒にいるのもいいのかな……と思いきや、よ。
ちょっと前にロケで“餃子のスペシャリスト”って人に会ったのよ。お取り寄せするならこの餃子がいいですよ、みたいなことを紹介してくれる方ね。で、その餃子のスペシャリストが、めちゃめちゃ見た目がタイプだったの。

川村　大久保さんのタイプといえば、ガチムチ系の。

大久保　そう、ガチムチ系で、顔はちょっと濃いんだけど、切れ長の目で、俳優の坂口憲二さんをささっと一回湯がいて、水で締めて、サッパリさせたような感じ。

川村　そんな素敵な餃子のスペシャリストが！

大久保　仕事しながら、ああ、この人とこの後ご飯に行ったりできたらなあ……って思ったの。口では安心感とか、性欲が収まってきたとか言いながらも、ちゃんとまだそういうところは残ってるんだ！と思った。その加減を見極めなきゃいけないよね。

川村　わかります。この歳で付き合うなら、もう帰ってきたときに寝顔だけ見れればいいや～とか思うんですけど、まだキュンキュンしたい気持ちもあるし。その二つがせめぎ合ってる感じですよね。

大久保　寝顔だけ見る関係なんて嫌だよ(笑)。どういう関係なの、それ。ご飯くらいは一緒に食べたいでしょ。

川村　もうお互いの生存確認くらいでいいやって気持ちがあります。

大久保　そっちは40歳で、私は49歳で、キュンキュンと安心感の割合がどうなんだろうね。40のときに５対５なのが、４対６になったり、今の私は３対７くらいな感じかな。これがもっと歳を取ると変わってくるのかね。

川村　もう安心感100％みたいになるんですかねえ。

大久保　「女は灰になるまで女だ」って言うし、どこかでは「女として見られたい」って気持ちが残ってるような気もするね。

川村　灰になるまで女！　かっこいい！

大久保　って、覚えてないけど誰かが言ってました(笑)。

「ここに恋はありますか？」

川村　それにしても本当に出会いがないんですよ。

大久保　それはもう仕方ないんじゃない？　でもエッセイに書いてあったけど、何か格言に沿ってやってるんでしょ。

川村　ああ、【ブスは出歩け！】ですね。私のような者には、普通にしてたって出会いなんてないから、とにかく出歩いて出歩いて、遠くまで。

大久保　靴底すり減らしてね、営業マンのように。

川村　そう、で新しい靴買って……とにかく1軒1軒、「ここに恋はありますか？」「ここに恋はありますか？」って回る。

大久保　それはしんどいね、なかなかね……(笑)。でもさ、自分たちが言うからいいと思うけどさ、ブスって普通そこでグイグイは行けないじゃん。

川村　そう、なかなか行けないんですけど、でも40になって、自分が恋をしたらどうなるのか全然知らないって思ったんです。ちゃんと恋をしてこなかったから。恥ずかしいとか、気まずいとかで出会いの場を避けてきてしまったことを本当に後悔してて。しのごの言わずにやっておけばよかったって思います。

大久保　それは恋愛に限らず、わかる気がする。私も人からは社交的に見られてるのかもしれないけど、実はそうじゃないから。「飲みに行きましょうよ～」とか言えないタイプ。もっと興味がある人とか、あんまり知らない人とかでも、夜中呼び出されたら行く！ってことをしておけばよかったなあって。今はもうしたくてもエネルギーがないのよ！　23時には布団に入ってるからね。

川村　寝るの早いですね（笑）。

大久保　うちワンちゃんいるからね。朝が早いから。
じゃあ今は、見た目とかにこだわらずに、いろんな人に会おうとしてるんだ。

川村　そう、とにかく会おうって思っていて。人に紹介してもらうのも「誰かいい人紹介してください！」って言ったら、「いい人はいない」って言われて紹介してもらえないんです。「私、来年には結婚したいと思ってて……誰かいないかなあと思ってるんですけど、いないんですよねぇ……」って言った方が紹介してくれます。

大久保　そこの切実度の違いで差が出るわけね。確かに、それぐらい具体的に言ってくれたら、誰かいたかなって考えるかも。