よみタイ

枯れない人妻女〜既婚者のバイタリティが溢れまくってる話
8月5日に、鈴木涼美さんの新刊『非・絶滅男女図鑑 男はホントに話を聞かないし、女も頑固に地図を読まない』が発売されました。
「よみタイ」でも大好評だった連載コラム、「○○○な女 オンナはそれを我慢している」「×××な男 酒と泪とオトコと美学」から厳選された30人の男女の話が1冊に!
令和を生き抜く現代男女の生態を、いまや各メディアで引っ張りだこの涼美さんが独(毒?)自の視点で分析します。

この刊行を記念し、連載コラムの中から著者みずからが「特に思い入れが深い!」と厳選した各篇を、その理由と画像(涼美さん自撮り!)とともに特別掲載。
毎週1篇ずつ、全6回の特別企画……だったのですが、ご好評につき追加で2篇の公開が決定!

スペースの都合で残念ながら書籍未掲載となったエピソードを一部再編集して、涼美さんのコメントとともにお届けします。
(本特集のバックナンバーはこちら! 1回2回3回4回5回6回7回

枯れない人妻女〜既婚者のバイタリティが溢れまくってる話

@鈴木涼美
恋愛が完全に自由なはずで、仕事に完全に集中できるはずの独身子なし女の生活が色んな意味で慎ましく、人妻となった友人達のほうが恋も仕事も全力投球なの、なぜなんでしょう。
人間として素晴らしい! トラブルは多いけど。

先日、数年ぶりに会う大学の友達3人とで新宿でジンギスカンを食べていたのだけど、なんか18年前の大学一年生の頃に比べれば私たち大人になったわねぇなんて口にしつつ、しかし見た目はみんなそれなりに若々しく28歳くらいの女子会に見えるかしらと全員が仄かに心でニヤついて、最近の仕事や恋愛などについて報告しあった。

北関東の片田舎で旦那の会社をたまに手伝いつつ、子育てやインスタ映えに奔走する人妻が…

女35歳、まだまだ現役、恋に仕事に色々と忙しない日々を送っている。
正確に言うと私を含めた4人のうち2人が独身、2人が既婚子持ちと綺麗に分かれていて、恋の報告で場を盛り上げるのはどう考えても私たち独身二人の役割かと思うのだけど、一人は数年前から固定の男(雇い主であり既婚者でもある)と絶妙な関係を保ち続けていて、色々難がある関係ではあるものの、難があるために関係は均衡を保っていて、実際何のドラマもなくひっそりと硬直中で目新しい話題に欠ける。
頼みの綱の私はと言うと、基本的に人の恋愛に巻き込まれるのが趣味なので、友人のAちゃんがこないだ別れて、とか、友人のBちゃんが二股かけて的な話をついついしてしまってなんか話題豊富な顔をしているのだけど、気づけば当事者意識を持って語れる自分の話題なんてほとんどない。8年前に「イケメン♡」と思って付き合っていた元彼に久しぶりに会ったら彼の体重が96キロになっていた、と言う15秒で終わる話をしたら、すぐにネタは底をついた。
 
で、ものすごい情報量と熱量の恋話で場を盛り上げるのは実は圧倒的に人妻の方なので、自由の身でありながら何のお役にも立てずに申し訳ないと思いつつ、毎回その恋愛へのバイタリティに感心している。

ジンギスカン屋でも、独身二人の「何も面白いことないわぁ」的な会話の後に続いて、まくし立てるように話し出したのは26歳で結婚してすでに一男一女をもうけた元弁護士秘書の女だったのだけど、その話がまた恋愛のテーマパークみたいに色んな要素が盛りだくさんだった。

紹介するので、ちょっとややこしいけど辛抱して聞いてくださいね。

女子会の肴と言えば恋の話だけど
女子会の肴と言えば恋の話だけど

北関東の片田舎で旦那が経営する会社をたまに手伝いつつ、子育てやインスタ映えに奔走するその友人は、一年半くらい前から、旦那とは別に付き合っている男性がいる。

子供を連れてたまに行っていた飲食店の店長であるその男性も、数年前に結婚し、まだ赤ちゃんの子供と妻がいる。片田舎だけに、街の規模は彼女が育った東京の下町に比べても小さく、いつもデートはかなり慎重、遠く離れた街に車で行ってカフェで話してホテルに行くなど、自由とは言い難いが、どんなに忙しくても週に一回以上は会うことにしている。ちょこちょこ実家のある都内に用事があってくるのだが、その時も旦那へのお土産は何も買わないが、自分の子供と彼氏へのお土産は必ず買うほど、友人は彼に夢中である。

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鈴木涼美

すずき・すずみ●1983年東京都生まれ。作家、社会学者。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、東京大学大学院学際情報学府の修士課程修了。大学在学中にキャバクラ嬢として働くなど多彩な経験ののち、卒業後は2009年から日本経済新聞社に勤め、記者となるが、2014年に自主退職。女性、恋愛、世相に関するエッセイやコラムを多数執筆。
近著に『女がそんなことで喜ぶと思うなよ 愚男愚女愛憎世間今昔絵巻』など
公式Twitter @Suzumixxx

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