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枯れない人妻女〜既婚者のバイタリティが溢れまくってる話

枯れない人妻女〜既婚者のバイタリティが溢れまくってる話

もともと彼の地元である北関東の地方都市在住なので、彼女には心から信頼できる、昔からの友人はほとんどいない。友人というと保育園やマンションのママ友ばかりで、その中でもAちゃんとはかなり仲が良く、お互い彼氏がいることもあり、時々二人でお茶をしては彼との日々や喧嘩などについて、愚痴を言ったり惚気たりしてつるんでいる。

地元出身のAちゃんには、学生時代に仲が良かったBちゃんという友達がいて、専業主婦であるBちゃんの子供はまだ小さく、保育園に入っていないのだが、この度Bちゃんにも既婚の彼氏ができたため、その女子会にBちゃんも誘うことが増え、ただでさえ地元に頼れる女友達が少なかった私の友人もそれを快く歓迎。三人で彼氏の相談をする女子会は頻繁に開催されていた。

そんなある日、Aちゃんが彼氏と破局した。友人曰く、かなりひどい別れ方で、ホテルで約束をした日に連絡もなく彼が現れず、次の日に「ごめん、しばらく忙しいから別れて」という簡素なLINEが来た後、LINEをブロックされたらしい。

3人の人妻が秘密を握り合うことで保っていた均衡が崩れるとき

当然、Aちゃんは大変落ち込み、次の女子会は私の友人とBちゃんがAちゃんを慰める会になった。
もちろん、みんなでAちゃんの元彼の悪口を言って大いに慰めていたのだけど、タイミング悪く、Bちゃんの携帯が鳴り、一週間ほど出張に行っていた彼女の彼氏が急に時間ができたので会いたい、と言ってきた。彼と付き合って間もないBちゃんはついつい浮かれて、Aちゃんを慰める女子会を中座し、彼の元へ飛んで行った。

当然、面白くないのはAちゃんである。
もともとBちゃんはモテなかったから旦那の収入も低いのに、彼氏とか作って調子に乗っている、などBちゃんの悪口を私の友人に言ってくる。友人も何となく合わせてその日はお開きになったのだが、次の日の午後、友人のところにはBちゃんから絶望的な声の電話が。

何でも、匿名で彼氏の嫁のSNSに自分と彼との関係をほのめかすメッセージが送られてきたのだという。
三人とも彼氏がいた頃の女子会で、お互いの彼のSNSや嫁のSNSを共有していたのが仇となった。
絶対にAちゃんの仕業だ、とピンときた友人はBちゃんに、昨日Bちゃんが帰った後のAちゃんの荒れっぷりをややオブラートに包んで伝えた。とにかく彼へのフォローを急ぐ、と言ってBちゃんが電話を切った1時間後、今度はAちゃんから電話が。

「Bから電話があったけど、今日のあの事件の犯人、私だってあんたが言ったらしいじゃん」

ピエロな独身はバイタリティもなく
ピエロな独身はバイタリティもなく

3人の主婦が秘密を握り合うことで保っていた均衡は完全に崩れ、常軌を逸したAちゃんの危害が自分にも及ぶ、と踏んだ友人はすぐさま彼に連絡。
もちろん、女子会で彼の名前や嫁のSNSを共有したり、つい隠し撮りした彼の寝顔の写真を友人たちに送っていたことなどは隠しつつ、AちゃんやBちゃんのことを伝えて注意喚起をした。

大変運が悪いことに、Aちゃんのお姉さんは、私の友人の彼氏の妻ともともと勤め先が一緒で、ちょっと手間をかければSNSの匿名メッセージより信頼性の高い情報をお届けしてしまう可能性がある。完全にビビった彼は翌日に会う約束をひとまずキャンセルしようと提案。

彼が賢明な気もするけど、私の友人はそこでごねまくり、まだ何かあるかわからないのに予防で会わないなんて嫌だと泣き、ちょっとした喧嘩になったのだが、車の中で電話していた彼が自宅に到着してしまったため、消化不良のまま休戦。
その日は気が気でないまま眠ったが、翌朝やはり彼から今日だけはキャンセルさせて、と連絡が。

しぶしぶのんだものの、タイミングの悪いことに、彼の嫁のインスタグラムに彼と子供も映った家族写真が登場し、私の友人の精神はボロボロになった。
そして、やはり嫁のところには匿名のメッセージが来たらしいが、幸いAちゃんの姉を通じた連絡などはなかった。
匿名メッセージはそれほど気にしなかった嫁だったので、付き合いで行ったキャバクラの女の子にしつこくされている、的ないいわけで言い逃れはできたらしいのだが、キャバクラに行った罰とそのキャバ嬢への嫌がらせも込めて、LINEのアイコンを家族写真にするように命じられたらしく、彼のアイコンが幸せな家族のアイコンに変わったことで友人は完全に病んでいた。

びっくりするほど反省しない彼と彼女は今でもホテルで逢瀬を重ねているが、彼のアイコンがいまだに家族写真であることをどうしても許せない私の友人は、そのことを私たちに愚痴るためにここまでの長い話をしたというわけです。

何度も言うけど、彼女自身に娘と息子がいて一応同い年の旦那もいます、念の為。

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鈴木涼美

すずき・すずみ●1983年東京都生まれ。作家、社会学者。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、東京大学大学院学際情報学府の修士課程修了。大学在学中にキャバクラ嬢として働くなど多彩な経験ののち、卒業後は2009年から日本経済新聞社に勤め、記者となるが、2014年に自主退職。女性、恋愛、世相に関するエッセイやコラムを多数執筆。
近著に『女がそんなことで喜ぶと思うなよ 愚男愚女愛憎世間今昔絵巻』など
公式Twitter @Suzumixxx

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