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暗記教科だから、と気負う必要なし! 地理・公民を学ぶ土台は、普段の家族の会話から作れる

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公民の勉強法にはAIも積極的に活用しよう

また、中学では中3で「公民」を勉強します。公民も、いかに自分ごとにするか、「これは、自分に関連することだ」と認識することが大事です。
中学3年生、15歳で公民を勉強する子どもたちには、「日本では成人年齢は2022年から18歳になりました。あと3年で成人するんだよ! 法律では大人として扱われるようになる。政治に参加して、選挙に行くんだよ! もしかしたら、18歳で結婚するかもしれない。小6から今までが、ちょうど3年」と伝えると、急に真剣に勉強してくれます。

小6で学ぶ公民は、言わばその中学公民の基礎部分。日本国憲法(国民主権、基本的人権の尊重、平和主義)や、政治の仕組み(国会・内閣・裁判所の働き)、選挙(国民の代表を選ぶ仕組み)、地方自治(市区町村や都道府県の政治)、税金(税金の役割と使い道)、国民生活(政治と私たちの暮らしの関係)、国際社会(国際連合の働き、国際協力、世界平和)などについて基本的なことを学びます。ここから、中学ではさらに、経済、法律、民主主義、社会保障、労働、金融、国際政治などを体系的に学びます。

中学校に入る前の準備としては、小6の社会科の公民的分野を、憲法・政治・国際社会の3つに分けて読むことをお勧めします。わからない言葉や疑問が出てきたら、その都度調べたり話し合ったりします。中学で公民を学ぶための土台づくりは、これで十分です。この時、たくさん、素朴な質問が出てくるかもしれません。今まで教え子たちから受けた質問をそのまま書くなら、「なんで政治家って、おじさんばっかりなの?」「政治家って何をしているの?」「なんで戦争するの?」「都知事と国会議員はどっちが偉いの?」「そもそも、政治って何?」なんていう質問が並びます。これこそ、会話型AIの出番です。心ゆくまで質問をして、考える助けにし、理解を深めます。小学生のうちは、保護者の方と一緒に使い、気になった答えは教科書でも確かめてみましょう。学校の先生に質問してコミュニケーションをとるチャンスでもあります。
また、実際に、選挙の日に一緒に投票所へ行ったり、市区町村の広報誌を一緒に見たり、お小遣いの中から実際に自分がどれだけ消費税を払っているかを計算することも有用です。ゴミ収集や道路の整備、学校の給食・教科書代が税金でまかなわれていることを話すと、つながりが見えてきます。

これは、小学校の社会科全般に言えることなのですが、他の学年に比べて小6で学ぶことの比重がとても重いのです。特に、歴史と公民は、小6の教科書が読めていれば大丈夫です。また、もし、中学入学までに準備が間に合わなかったとしても、中学では最初から教えてくれるので、中学から学び始めてもそれほど問題はありません。

学ぶ方法が多様化している今だからこそ、感情・実感を伴う経験を

最近は教え子たちも、わからない問題がある時に、「動画で検索したらこんなことを言っていた」「チャッピー(ChatGPTのことを、子どもたちはこう呼んでいます)に相談したら、こんな回答だった」と話すようになってきました。子どもたちのこれからは、「AIと共に生きる世界」です。

だからこそ私は、使い分けが大切だと考えています。公民で出てくるような素朴な疑問は、もらった知識が次を考えるための思考の種になるので、AIに何度でも聞いて、考えを深める助けにすればいい。一方で、地理の旅行の計画のように、実際に地図やガイドブックを広げて自分の目で見て、自分のペースで考えながら、「どうしたら家族みんなが喜ぶか」「どうしたら楽しく快適で安全な旅行になるか」答えのない問いを一生懸命考えて試行錯誤し、組み立てる経験は、子どもたちにとって必要です。たくさんの感情と実感を伴いながら進める学習は、絶対に記憶に残ります。

私が家庭教師を始めた29年前から、世界は大きく変わりました。ポケベルから携帯電話に代わり、パソコンが普及し、中学生でもスマホを持つようになり、気軽にAIに相談できる時代になりました。子どもたちを取り巻く環境も変わり、集まって遊ぶよりも、ひとりで動画を見て過ごす子どもたちが増えました。
でも、どんなに環境が変わっても、子どもたちが勉強する時には、同じようなところでつまずき、同じようなところで、同じような間違い方をします。「20時になったら勉強しようと思っていたのに、時計を見たら20:10だった。だから、21時からやろうと思っていたのに、お母さんが『今日も勉強しないの?』って言ってきて、とっても嫌だったから、昨日は勉強しなかった」という言い訳も、健在です。時々、不思議に思うのですが、どんなに私たちを取り巻く環境が変わっても、私たち自身の理解力は、それほど変わっていないのかもしれません。ならば、自分のペースで調べ、試行錯誤する時間は、とても重要なものかもしれません。赤ちゃんが、小さな冒険を繰り返して行動範囲を広げるように、試行錯誤をしながら、その時その時の感情を受け止めながら、実感を持って認識や理解を広げていく経験が、今の子どもたちには必要だと感じています。

本来、学ぶことは楽しいことで、ワクワクすることでもあります。社会の勉強は、家族で、そんなふうに楽しく取り組める機会にもなります。親が子どもたちと過ごせる時間は、思っているよりもずっと短いものです。せっかくのチャンスなので、楽しんでください。

 この連載は毎月第1月曜配信。次回は12/7(月)公開予定です。

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植木和実

うえき・かづみ●1976年生まれ。不登校専門オンライン家庭教師「イエローシードラビー」代表。東京大学大学院修了、生命科学修士。認定心理士。
学生時代からの家庭教師歴は20年以上。小学生から大学受験生まで、学年を問わず全教科の指導を行い、時に一緒に戦略を練り、時に本音をこぼしあいながら伴走してきた。ダウン症の愛娘(師匠)に恵まれ、教育の基礎を学ぶ機会を得る。企業での研究職等を経て、2020年に不登校専門オンライン家庭教師「イエローシード」を立ち上げる。勉強の遅れは取り戻すことができる。子どもたちとその家族に、どんな状況からでもリカバリーは可能であり、あきらめなくていいと伝えたい。絶対に幸せになってほしいと思っている。

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