2026.10.5
小学校で習う「歴史」は「ストーリーを楽しむ」感覚が大事。過去、現在、そして未来の大きな流れを理解しよう
今回からは社会の勉強法について。前編では、歴史の流れをどのように理解していけばよいのかを解説します。
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「覚えなきゃいけない」は一旦置いておこう
「社会って、覚えることが多すぎる」
そう感じている子は、少なくありません。
歴史上の人物に年号、都道府県や国の名前、産業、憲法、国会、選挙……。たしかに社会は、覚えなければならない言葉がたくさん出てくる教科です。
でも、社会は本来、「暗記するための教科」ではありません。
歴史は、自分たちが生きる「今」がどうやってできたのかを知るもの。地理は、自分が暮らしている世界を知るもの。そして公民は、これから自分が社会の中で生きていくために学ぶものです。
つまり社会は、過去の知らない人や遠い国についてただ覚える教科ではなく、「自分が生きている世界・これから生きていく世界」を知るための教科なのです。
そう考えると、社会の勉強は少し違って見えてきます。
「ゆっくり学ぶ子どもたちが、小学校6年間の勉強を1年で習得する方法」。最後の教科である社会、第1回目の今回は歴史について、次回第2回は、地理と公民についてお伝えします。
歴史も、「大好き!」という生徒と「とても苦手」という生徒と二極化しやすい教科です。
「興味が持てない。いったい何から手をつければいいのかわからない」という子もいます。
そんな子に、私はよく言います。「歴史は、『ジャイアンを探せ』だよ」
その時代で、いちばん力を持っていたのは誰なのか。その人はどうやって力を手に入れ、どんな政治をしたのか。そして、何を好んだのか。
「次のジャイアンは誰?」と探しながら歴史を眺めてみると、バラバラだった人物や出来事が、ひとつの長い物語としてつながり始めます。
「縄文、弥生、古墳、飛鳥……」と時代名をバラバラに暗記する代わりに、「その時代、力を持っていたのは誰か?」をキーポイントに、歴史の物語の流れを覚えていきます。
縄文時代は、比較的貧富の差が少なく、定住的な狩猟採集社会が長く続きました。弥生時代、稲作が伝わると、食料などの富を蓄積しやすくなり、集団間・集団内の格差や権力が目立つようになりました。
そう、そこから「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」のジャイアン登場です。小さな「くに」が生まれ、時に「中国の王様を後ろ盾に、その金印を印籠のように使う、まるでスネ夫のようなくにの王」も輩出しながら、各地の豪族たちを従えながら勢力を広げ、やがて「キング・オブ・ジャイアン」ともいえる存在になっていったのが、大和政権の大王です。
そして、ジャイアンが入れ替わっていく。

その時代の統治者はどんなキャラクター?
ジャイアンを探しながら時代をたどると、聖徳太子のような出木杉くんを発見することもあります。
藤原道長のような、「自分の娘を次々と天皇の后にし、生まれた孫を天皇にして、その外祖父として政治の実権を握る」ジャイアンらしいジャイアンもいます。
そんな道長の話をすると、生徒たちは「きもーい!」と言うのですが、私は道長が嫌いではありません。
道長が書き残した日記「御堂関白記」は、2013年にユネスコの世界記憶遺産に登録されました。約1000年前、権力の頂点にいた人物が、日々何をし、何を書き残したのか。現代の私たちもその記録を読むことができます。道長だけでなく、同じ時代を生きた人たちも日記を残しており、それらを照らし合わせることで、同じ出来事を複数の視点から検証することができます。
また、道長は娘を天皇の后にするべく、容姿や持ち物の美しさに加え、知性を磨くために、紫式部ら才能のある女性たちを娘のもとに集め、平安文学が花開いた時代の文化的環境にも深く関わりました。一方で、本人の和歌となると、その評価は、また別のお話……。
江戸時代までは、ジャイアンの入れ替わりそのものが、歴史の変遷でもあります。ジャイアンは誰か。どんなジャイアンか。どうやって権力を手に入れたのか。どんな政治をしたのか。そして、何が好きだったか。
「その時代のジャイアンたちが何にお金と権力を使ったのか」は、その時代の文化を知る大きな手掛かりになります。権力者がこのお寺を建てた、仏像を作らせた、和歌を好んだ、茶の湯を愛した、城を建てた――。「○○文化=作品名」とバラバラに暗記するのではなく、「この時代のジャイアンは、何が好きだったのだろう?」と、その人物の個性と結びつけてみると、ずっと覚えやすくなります。
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