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セ・リーグ新人王・広島カープの森下暢仁の似顔絵はなぜ似ないのか〜森下暢仁(プロ野球選手)

圧巻の投球時にさえ、全く顔が崩れないというのも稀有な才能ではないのか

コロナ禍に見舞われた2020年シーズンのプロ野球は、3か月遅れの開幕や試合数の減少、交流戦の中止など不測の事態の連続であった。

その中でプロ野球選手としてのキャリアをスタートさせるというのは相当の重圧だったに違いない。
しかし森下は期待以上の活躍を見せてくれた。7月こそコンディション不良で一時離脱したものの、8月以降は圧巻のピッチングを見せ、大瀬良大地やK・ジョンソン、野村祐輔らカープ先発陣が次々と戦線離脱する中、シーズン最後までローテーションを守り通した。特に10月、11月は5試合に先発して4勝0敗、防御率0.24という数字を残し、月間MVPを獲得したのである。

もちろんその成績も素晴らしいのであるが、森下がすごいと思うのは、その圧巻の投球時に顔が全く崩れないことだ。どんなにイケメンだと言われる人でも、ピッチングの最中を切り取った静止画はものすごい形相になっていることが殆んどである。ところが森下の場合、どんな場面を写されても顔が整っている。これもまた稀有な才能ではないだろうか。

また、マウンドを救援陣に託してベンチで戦況を見守る森下は、その黒目がちな瞳も手伝って、まるで愛らしい小動物のようでもある。その姿を見ているファンは、「何とか森下の勝ちを守って欲しい」という気持ちを一層強くする。今シーズン、後続が打たれて森下の勝利投手の権利が消えてしまう試合がいくつかあったのだが、ファンが大いに落胆したのは森下の表情に心動かされたから、という理由があったことも否めない。

今シーズン終了時点で森下は10勝3敗、防御率1.91、リーグトップとなる奪三振率9.10という成績を残し、先日行われたNPBアワーズで、投票総数313票中303票という圧倒的な数を得て、セ・リーグ新人王に選出された。表彰式の檀上にあがったスーツ姿の森下もまた、マウンド上と同じように整った顔であった。
来シーズンもまた、森下が今シーズンと同様の活躍を見せてくれることを祈りつつ、ひとまず私はもう少し似顔絵を似せられるように精進していきたい。

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新刊紹介

オギリマサホ

1976年東京都出身。イラストレーターとしてシュールな人物画を中心に雑誌や書籍などで活躍。中学1年までは巨人ファンだったのが、中2のときに投手王国・広島カープに魅せられ、広島ファンに転向。そのカープ愛が炸裂するイラストエッセイ『斜め下からカープ論』を刊行。野球のみならず、広くスポーツ界を愛している。
Twitter@ogirim

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