2026.7.9
31年ぶりのパリ公演は2日で約3万人! 300日以上続く「満員御礼」! 大盛況が続く大相撲に押し寄せる波とは?
そんな大相撲の現在地や、さらに注目を増す七月場所以降について、故・北の富士さんの生涯を描いた『粋 北の富士勝昭が遺した言葉と時代』の著者であり、現在は「Abema大相撲」で実況を担当するフリーアナウンサー藤井康生さんによる特別寄稿を2回に分けてお送りします。
まずは前編。おもにこの半年の大相撲を振り返ります。
(文/藤井康生)
歴代2位となる「満員御礼」300日突破! 大盛況はどこまで続く?
吊り屋根の上に「満員御礼」の垂れ幕が降ろされる、今や当たり前の光景となりました。満員御礼の決定に明確な基準はありません。会場の8割程度が観客で埋まれば、日本相撲協会(事業部長)が判断して、垂れ幕を降ろします。かつて四本柱が存在した時代、満員となった場合にはその柱に「満員御禮」と書かれた幕が巻かれました。
「若貴ブーム」と呼ばれた平成の初期、大相撲は若い世代まで巻き込んで空前の人気を博しました。平成元(1989)年十一月場所の11日目から平成9(1997)年五月場所初日まで、何と666日連続の満員御礼。これは今も破られていない大記録です。
ところが、その大記録もあるいは更新されるかもしれない、そんな時代が来ようとしています。令和5(2023)年の一月場所6日目から続く満員が、今年の五月場所5日目でちょうど300日となりました。これは歴代2位の記録です。ここ何場所もチケットが売り出されると瞬く間に完売となります。666日にはまだまだ及びませんが、今の盛況を見ると4年後の令和12(2030)年には、新記録達成の日がやって来るかもしれません。
大人気のインバウンドと世界戦略
では、なぜ現在の大相撲がここまでの人気を獲得しているのでしょうか。
国技館に初めて入った方は、外国からの観客の多さに驚くはずです。コロナ禍での制限が解除されて以降、一気に外国人の大相撲観戦が増えました。SNSなどによって日本の文化は外国に発信され続けています。日本を訪れたら大相撲を観てみたい、そう思う気持ちはよく理解できます。外国からの観戦ツアーも増えました。浅草から両国へ、格好の観光ルートです。相撲部屋の稽古場でも熱心に見学をする外国人をよく見かけます。
そこに日本相撲協会は、さらなる発信として海外公演をここ一年で二度にわたり行いました。昨年10月のロンドン公演、会場は歴史のあるロイヤルアルバートホールです。5日間の開催で、のべ2万5千人余りが大相撲に熱狂し、土俵入りなどの儀式や取組までの仕切りなどにも真剣なまなざしを向けました。また、今年6月、31年ぶりとなるパリ公演でも2日間で約3万人の観客が日本の大相撲を目の当たりにしました。
海外からの要望に応えるかたちとはいえ、力士たちの疲労もあるはずです。ただ、大相撲の世界に入って初めての海外という力士がほとんどで、心の解放感はあったようです。日本相撲協会としても、力士の負担を軽減しながら、今後も海外発信を続けていく方針です。そこには「日本から世界へ」という文化や伝統の発信だけではなく、ビジネスとしての戦略もあります。

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