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『ギャル即是空』~「色即是空」とは何か? 平成生まれの僧侶が「ギャル」で説明してみた〜
12月16日、稲田ズイキさんの『世界が仏教であふれだす』が発売されました!
「よみタイ」でも大好評だったコラム「罰当たりなほどにユルくてポップな仏教トーク」から選び抜いたエピソードを加筆編集して単行本化。
平成生まれの僧侶・稲田さんが、仏教のあれこれについて独自の視点で楽しくわかりやすく解説する新感覚の仏教本です。

その刊行を記念して、書籍の中から厳選した“(仏教なのに)神回”を掲載。
全3回の特別企画です。
今回は、仏教用語「色即是空」をまさかの「ギャルの存在」にたとえて説明するショートストーリー『ギャル即是空』をお届けします!

※書籍の一部を抜粋・再編集しています。
(構成/よみタイ編集部)

『ギャル即是空』~「色即是空」とは何か? 平成生まれの僧侶が「ギャル」で説明してみた〜

『ギャル即是空』

色即是空しきそくぜくう」とは、『般若心経』に出てくる仏教用語で、「形あるものは何もない」ということを説明している。
 今回は「色即是空」のニュアンスを伝えるため、一つの物語をご用意した。
 それが「ギャル」の存在のありかを考えるショートストーリー『ギャル即是空』である。

第1章 ギャルは無常に

 SHIBUYA109前。目の前には「ギャル」がいた。
 
 黄金色に輝く巻き髪。カラコン、ネイルに、しっかり引いたアイライン。幼稚園児が描いた太陽のようなつけまつげ。手には、BACKSのショップ袋を携えている。
 そして、今、目の前を通り過ぎようとしている瞬間、鼻を刺すドルガバの香水の匂い。
 間違いない。ギャルだ。
 推測は確信に変わり、僕はギャルに背後から声をかける。

「ねぇ、そこのギャル〜! 今から一緒にお茶しない?」

 ギャルは僕の声に反応して振り返り、こう言った。

「ウチは『ギャル』と世間では呼ばれてるけど、それはあくまで呼称・記号・通念であって、それに対応する実体はマジ存在しなくなくなくない?」

イラスト/竹内佐千子
イラスト/竹内佐千子

第2章 メンディーなギャル

 耳を疑った。
 SHIBUYA109前でギャルをナンパし続けて、早5年。
「キモい」「ウザい」と断られることは、当たり前。
 「ウチは『ギャル』と世間では呼ばれてるけど、それはあくまで呼称・記号・通念であって、それに対応する実体はマジ存在しなくなくなくない?」

 初めて提示されたカオスなリアクション。
 新種のナンパ防止策なのか?
 つまりは「ギャルに対応する実体は存在しない」と言いたいのだろうか。
「何を言っているんだこいつ」そんな思いが脳内を占有したが、ナンパ師としての動物的本能だけで会話を続けていた。

「何言ってんの、オネエさんはギャルじゃん〜! 俺そういう哲学?みたいな話好きなタイプだからさ、今からそこのカフェで話さない?」

 ギャルは眉一つ動かさず答える。

「『ギャル』ってゆう名称はあるけど、『ギャル』ってゆう実体はなくない? お兄さんが言う『そこのギャル』って何指してるの? マジやばたにえんの無理茶漬けなんだけど」

 面倒くさいギャルだった。
 最近、哲学の本でも読んでいるのだろうか。「実体」とか日常会話で使わないだろ、普通。
 なんにせよ、少しおかしくなってきて、会話を続けていた。

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稲田ズイキ

いなだ・ずいき●僧侶。1992年京都の月仲山称名寺生まれで現・副住職。同志社大学を卒業、同大学院法学研究科を中退、その後デジタルエージェンシー企業インフォバーンに入社。2018年に独立し、寺に定住せず煩悩タップリな企画をやる「煩悩クリエイター」として活動中。コラム連載など、文筆業のかたわら、お寺ミュージカル映画祭「テ・ラ・ランド」や失恋浄化バー「失恋供養」、煩悩浄化トークイベント「煩悩ナイト」などリアルイベントを企画しています。フリースタイルな僧侶たちWeb編集長。Twitter @andymizuki
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