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ヒカルの「オープンマリッジ炎上」はなぜ起きたのか──「本当はキャバクラが嫌だった」と言えなかった男の愛

全ての悲劇の始まりは……

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改めて、ヒカルがオープンマリッジ宣言をした動画を見返してみた。

進撃のノアと横並びに座り、「ハーレムを築きたいけど、絶対に離婚はしたくない」と語るヒカルは、改めて見てもやはりあまりに身勝手だ。進撃のノアが「接客業でお客さんとの距離が近いけど、不快に思わないでほしい」と言えば、ヒカルは「不快に思ってない。俺も浮気がデフォやから」と言い返す。公開当初に見たときはそれが破天荒で自由な恋愛の高らかな宣言のように聞こえたが、本当は妻がキャバクラで働いているのが嫌だったという話を聞いてから見返すと、嫉妬や独占欲と格闘した末の、不器用な振る舞いにしか見えなかった。

しかし進撃のノアも、オープンマリッジをすることに対して「なぜかすごい理解できる」「この人と結婚してよかったと思い始めてしまって」などと言っていたので、当人同士が納得していたのならそれでいいとも言えるのだが、親よりも役所よりも優先的に結婚報告を受けた視聴者は、そんな関係を許さなかった。「最低」「気持ち悪い」「妻の価値を下げている」「離婚しろ」と批判コメントが殺到し、そんなコメント欄に対し、ヒカルが固定コメントでこう言い返した。

「お前らみたいなのに好かれて生きる人生は無理すぎる。だから今日をもって消えてください」

視聴者ファーストを貫いてきたYouTuberが、視聴者に向かって「消えてください」と暴言を吐く。それがどれほど合理的ではない選択か、YouTubeの最前線を走るヒカル自身が、誰よりも理解していたはずだ。

それでもそう言わずにはいられなかったのは、チャンネル登録者数よりも失いたくないものがあったからではないか。それはきっと、進撃のノアとの関係の継続──つまりは、愛だったはずだ。

しかしその試みはうまくいかなかった。オープンマリッジ宣言で炎上してから約3ヶ月後、「離婚しました」というタイトルの動画が投稿された。結婚とYouTubeの両立の困難さが、離婚の理由として語られていた。

本当は妻がキャバクラで働いているのは嬉しくなかった──その一言を口にできなかったことが、オープンマリッジを生み、大炎上を引き起こし、離婚という結末を招いた。愛する人の仕事を否定したくないという気持ちが、おそらく全ての悲劇のはじまりだったのだ。

   *

離婚報告から4ヶ月後。連続起業家・溝口勇児がMCを務めるYouTubeのキャバ嬢オーディション番組『LAST CALL』の企画のなかで、進撃のノアが罰ゲームとして、ヒカルに電話をかける場面があった。

全国から集結したトップキャバ嬢たちに見守られながら、進撃のノアが電話先のヒカルに尋ねた。

「ノアのことってほんまに愛してた?」

少し間を置いて、ヒカルが答えた。

「愛してた」

インプレッション稼ぎの番組演出だと言ってしまえば、それまでかもしれない。しかし2人のそのやりとりは、とても嘘には聞こえなかった。

(了)

 次回連載第12回は7/16(木)公開予定です。

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新刊紹介

山下素童

1992年生まれ。現在は無職。著書に『昼休み、またピンクサロンに走り出していた』『彼女が僕としたセックスは動画の中と完全に同じだった』。

X(旧Twitter)@sirotodotei

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