2026.6.18
ヒカルの「オープンマリッジ炎上」はなぜ起きたのか──「本当はキャバクラが嫌だった」と言えなかった男の愛
前回、かつて「タモリ倶楽部」に出演した際に得た学びを綴りました。
今回は、昨年炎上したYouTuberヒカルによる「オープンマリッジ宣言」を素童さんが独自の視点で徹底分析しています。

記事が続きます
夜の世界で働く女性を愛することの困難さ?
昨年9月、YouTuberのヒカルが「オープンマリッジ」を宣言する動画を投稿し、大炎上した。
オープンマリッジとは、夫婦関係を維持したまま、配偶者以外との恋愛や性的関係を互いに認め合う結婚のあり方のことだ。妻であり、伝説のキャバ嬢としても知られる進撃のノアとの間で、オープンマリッジをはじめる──そんな宣言に対し、YouTubeのコメント欄は罵詈雑言で埋め尽くされた。
「最低」
「気持ち悪い」
「妻の価値を下げている」
「離婚しろ」
チャンネル登録者数は20万人以上も減少した。進撃のノアとの0日婚を発表してから、わずか3か月後のことだった。
ヒカルといえば賛否の激しい人物だが、そのYouTubeを10年近く追ってきた僕の目には、過剰なまでに視聴者ファーストな人間という印象があった。進撃のノアとの結婚を決めた際も、親への挨拶や婚姻届の提出よりも、視聴者への報告を優先させたほどだった。
そんなヒカルがなぜ、まったく視聴者に理解されないオープンマリッジ宣言を唐突にしたのだろうか。長い間、理解できずにいた。しかし騒動から約9か月が経ったいま、ようやくその真意が見えてきた気がするのだ。
きっかけは、先月公開された青汁王子&てんちむ新婚夫妻とのコラボ動画のなかで、進撃のノアとの結婚がうまくいかなかったことを振り返りながらヒカルが漏らした一言だった。
「本来キャバクラやられてるなんて、嬉しくはないじゃないですか」
本当は妻がキャバクラで働いているのは嬉しくなかった──その言葉を聞いた瞬間、あの騒動の輪郭が急にくっきりと見えはじめた。ヒカルのオープンマリッジ宣言は、「キャバクラという夜の世界で働く女性を愛することの困難さ」から生まれたものだったのではないだろうか。
*
「本来キャバクラやられてるなんて、嬉しくはないじゃないですか」
自宅のテレビで流れるYouTubeのなかでヒカルがそう口にしたとき、僕は晩ご飯を食べながら、ある夜のことを思い出した。
その日はLINEの着信音で目を覚ました。スマホを見ると深夜の3時で、当時付き合っていた恋人の名前が画面に表示されていた。電話に出ると、酔っ払った彼女の声がした。キャバクラの仕事が終わったから会いたいということで、近くのファミレスで会うことにした。
赤ら顔でやってきた彼女は席に着くなり、その日の出来事を話しはじめた。有名な経営者が店に来たこと。メディア上の印象とは違って話がとても面白かったこと。そのままアフターで飲みに行ったこと。
楽しそうに話す彼女を前に、僕は少しずつ言葉を失っていった。急に深夜に呼び出され、睡眠不足の状態で、魅力的な男の話を楽しそうにされる。そんな話は聞きたくない。そう思ってしまった。うまく自分の感情を抑えることができず、僕は少し不機嫌になった。すると、彼女が不思議そうな顔をしながら聞いてきた。
「ねぇ、私なんか嫌なこと言った?」
僕は「別に嫌なことは言ってないよ」と答えた。実際、彼女は何も悪くなかった。ただその日にあった出来事を喋っただけで、悪意なんてさらさらないことはわかっていた。それでも僕は不機嫌さを隠すことができず、気まずい沈黙だけが流れ続けた。ご飯を食べ終わって解散をすると、「もう私のこと興味ないでしょ?」とLINEが届き、別れを告げられた。
*
そんな記憶が蘇ったのは、ヒカルが漏らした言葉を聞いたとき、胸の奥に押し込めていた感情が言葉にされたような感覚があったからだ。
当時は、はっきりとそうは思えなかったが、僕は恋人がキャバクラで働いていることが本当は嫌だったのだ。もっと正確に言えば、彼女がキャバクラで働いている限り、どうしたって自分と客の男たちを比べ続けてしまうことが辛かった。
動画の中のヒカルは続けて言う。
「本音で言えば、キャバクラは嬉しくない」「嫌だけど許容している」「プロでやってるしリスペクトもある」「自分のエゴだけで辞めさせるのもおかしな話」「そういうのも言ってこなかったから、向き合ってこなかった」
次々と口にされる言葉を聞きながら、何度も何度も頷いてしまった。僕が辛い気持ちを恋人に伝えることができなかったのも、まったく同じ理由だったからだ。それを伝えようとすると、どうしたってキャバクラという仕事を否定することになってしまう。だから、向き合うことが難しかった。
辛い気持ちを吐露しようとすれば彼女の仕事を否定することになり、黙っていれば自分が苦しくなる──そんな袋小路に陥って、僕は不機嫌になるという選択しかとることができなかった。
あのとき一体どうすれば、恋人の仕事を否定することなく、ありのままの彼女を愛することができたのだろうか?
そこまで考えたとき、ヒカルのオープンマリッジ宣言が、それまでとは違ったものに見えてきた。
同じ問題に直面していたヒカルは、そんな状況を打破する術を考えた結果として、自らのなかにある「相手を独占したいし、独占されたい」という恋愛感情のほうを変えようと思ったのではないだろうか。恋人への嫉妬は、独占欲から生まれてくる。そうであるならば、独占欲そのものを手放してしまえばいい——そう考えたときに頭に浮かんできたのが「オープンマリッジ」という選択肢だったのではないだろうか。
記事が続きます
![[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント](https://yomitai.jp/wp-content/themes/yomitai/common/images/content-social-title.png?v2)
















