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食用はわずか1%! 栄養豊富な「おから」が食べられずに捨てられてしまう本当の理由

豆腐のロスを減らすためには?

そんなおからのもとになっている豆腐自体が、日持ちがしにくく、食品ロスになりやすい食材でもあります。
スーパーで割引シールが貼られている豆腐を目にしたり、買ったものの自宅の冷蔵庫の中でいつの間にか賞味期限を切らしてしまったり、といった経験がある人も多いのではないでしょうか。
スーパーでも家庭でも、賞味期限が来れば、その多くが捨てられてしまうのが現状です。

豆腐の食品ロスを減らすため、最近では、製造方法を工夫して賞味期限を長くしたり、気象データを使って出荷数を調整したりする動きもあります。

群馬県の大手豆腐メーカー、相模屋食料は、製造方法を工夫して、賞味期限が15日間ある豆腐を開発しました。
また、日本気象協会と協力し、夏の冷奴は前日との気温差が大きい日ほど売れることから「寄せ豆腐指数」を開発しました。
この指数を元に、売れそうな日にはたくさん出荷して、そうでない日には出さない。そうすれば、売れ残ってしまってロスになることはありません。
実際にこの取り組みにより、年間のロスが30%削減されることになったそうです。

多過ぎて売れ残れば値引きしてでも売り切ったほうがいいですが、本当は、定価で適量売り切れたほうが、作り手も売り手もみんなハッピーなんじゃないかなと思います。

現状、私たち消費者が食品ロスを減らす方法としては、値引きしている食材(=廃棄される直前の食材)を買って、食べ切ることも大切です。
ただ、そもそもスーパーなどで食品が値引き販売されている背景には、欠品を防ぐために多めに食材が製造されているという構造があり、それが食品ロスを生んでいるということも考えていただきたいなと思います。

【捨てないコツ】
・豆腐やおからは食品ロスを生みやすい食材。積極的に食卓に取り入れ、消費することでロス削減に貢献できる。
・生おからは保存日数が短いが、「おからパウダー」を活用すれば、長期保存ができて、手軽に食事に取り入れることができる。

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井出留美

いで・るみ●食品ロス問題ジャーナリスト
奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。「食品ロス削減推進法」成立に協力した。政府・企業・国際機関・研究機関のリーダーによる世界的連合Champions12.3メンバー。
『あるものでまかなう生活』(日本経済新聞出版)、『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬社新書)、『捨てないパン屋の挑戦 しあわせのレシピ』(あかね書房)など著書多数。
食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。

公式サイト●http://www.office311.jp/
Twitter●@rumiide

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