2019.9.20
肉好きの聖地、松阪にて和牛の頂点を存分に味わう
伝統を守りながら進化する【牛銀本店】
松阪ですき焼きといえば、金銀が外せないのだ。
金とは和田金。
そして銀が牛銀である。
和田金が自社牧場の松阪牛のみを扱うのに対して、牛銀では数人の契約生産者から厳選した松阪牛を仕入れている。
松阪の生産者に話を聞くと、牛銀に扱ってもらえるというのがステータスであり、自身への評価だと感じているとのこと。
だからこそ牛銀の松阪牛の品質はすこぶる高いが、中でも特産松阪牛は別格。
兵庫県産の純但馬牛を素牛として、松阪で900日以上肥育したものが特産松阪牛と呼ばれるもの。
肥育が難しく、繊細で大きく育ちにくい但馬牛は、生産者の立場からはビジネス的には割には合わないものだ。
結果として、松阪牛の中でも特産松阪牛の割合は2%ほどしかない。
だからこそ、特産松阪牛の仕入れがあった時には、絶対にこちらをオススメしたい。
厚めにカットされたロースを仲居さんが丁寧に焼いてくれる。
砂糖の甘みと醤油の塩味、そして松阪牛の濃厚な旨味を卵が見事にまとめてくれている。
ほろほろとほどけるように口の中から消えていくロースが愛おしくて仕方ない。
牛銀にはオリジナルメニューの汐すきが存在する。
牛肉を鍋に敷いてから、胡椒と白醤油、昆布出汁で味付けする。
肉そのもののポテンシャルがよりくっきりとして、すき焼きとは全く違った味わい。
さっぱりとしていて、何枚でも食べたくなってしまう。
効率性を追い求めるのではなく、非効率と感じても伝統を守ることで維持されてきた特産松阪牛を、より美味しく食べる追求を続ける姿に感服する。