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小池克臣「No Meat,No Life.を生きる男の肉だらけの日々 肉バカ日誌」
年間200食もの牛肉を食べるという、名実ともに肉バカ、小池克臣が日々蓄えてきた肉への愛、知識、体験……そのすべてを注ぎ込む究極の肉コラムがここに。肉好きはもちろん、そうでなくても知っておくべき肉のあれこれが満載!

美味しい和牛を食べるのは命がけ~破天荒すぎる肉バカ物語

初めての著書『肉バカ。 No Meat,No Life.を実践する男が語る和牛の至福』の出版から「肉バカ」を名乗るようになって、早2年。

肉バカの命名は、市ヶ谷の名店【炭火焼肉なかはら】の店主・中原さんによるもの。
正直、最初はしっくりこなかったのだが、何度も耳元で囁かれているうちに不思議と気に入ってしまった。
年間に和牛を250回を食べているだとか、100kg食べているだとかいった回数や量ではなく、和牛という存在に心酔し、人生の全てを捧げてしまった己の姿から、この「肉バカ」という言葉が生れたのだと思う。

そんな肉バカが、今まで色々な経験をしてきた中で、正直「もう出来ない」と思う破天荒エピソードをここに紹介したい。

これらの経験を乗り越えて、今の肉バカがあるのは間違いない。

毎年1月24日は、牛肉記念日

すき焼きの老舗【人形町今半】で、年に1度だけ食べ放題が実施されているのをご存じだろうか。

日本では、かつて牛肉を食べることが禁止されていた時代がある。
ごく一部で味噌漬けにされた牛肉が薬として食べられていたくらいだ。

それが、明治5年1月24日、明治天皇が1200年禁止されていた牛肉を召し上がり、牛肉を食べるということが解禁された。
この歴史的な日を記念して、人形町今半では、毎年1月24日を「牛肉記念日」として、すき焼きおかわり自由(鉄板焼きの店舗ではステーキおかわり自由)というイベントを開催している。

おかわり自由、つまり食べ放題なわけだが、人形町今半が凄いのは、提供する牛肉に関して一切手を抜いていないこと。
特上すき焼きの1人前の価格で、特上すき焼きが食べ放題。
実際に何度おかわりしても、クオリティが全くブレない。

信じられない太っ腹ぶりである。

この人形町今半の好意に甘えて、暴走してしまった過去が、この肉バカにはある。

2008年から2014年まで、人形町今半の牛肉記念日イベントという名のいくさに毎年参戦しているが、問題があったのは2013年の1月24日だ。

1人前120gの特上すき焼きを6人前、つまり、720g食べたのだ。
当然の如く、生易しい赤身の強いモモやウデなど混じっていない。

細かなサシがびっしりとはいったリブロースやサーロインのみだ。
最後は90分の時間切れで終わってしまったが、食べ終わった直後は「もう1枚(40g)か2枚(80g)は食べられたかな」という感じであった。

しかし、お店を出て駅に向かって歩いている途中から恐ろしい満腹感に襲われ、電車に乗って座ったものの、降車駅で立ち上がるのが困難になるほどフラフラな状態に。
手摺につかまりながら、何とか電車を降りるのが精いっぱいだった。

脂質(脂)と糖分(砂糖)と塩分(醤油)の大量摂取で、血糖値は急上昇。
毎日牛肉を食べていた身体もびっくりしたのだろう。

これが初めて牛肉を身体の限界まで食べた経験かもしれない。
生産者が丹精込めて育てた牛肉は、適量食べるのが一番美味しく感じられるのは間違いない。
それがわかっていても、牛肉記念日という特別な日は、自分と牛肉とのつながりを確認する意味でも、己の限界に挑みたくなるのだ。

翌朝、携帯に染みついた強烈なすき焼き臭は、今でも忘れることが出来ない。

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小池克臣

こいけ・かつおみ●1976年、神奈川県横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、さらには和牛そのものの生産過程、加工、熟成まで踏み込んだ研究を続ける肉の求道者。著書に『No Meat,No Life.を実践する男が語る和牛の至福 肉バカ。』がある。
公式ブログ「No Meat, No Life.」→ http://d.hatena.ne.jp/BMS12/

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