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3年ぶりの健康診断、その結果は? 私も高血圧と本気で闘う覚悟を決めました

 ふむ、どうしよう。これ以上は打つ手なしか。誰かに決められた平均値や目先の数値に踊らされず、無理のない範囲で悠々自適に美容と健康に勤しんできたが、それにも限界がきてしまったようだ。
 軽い絶望を味わいつつ、自分と同じように高血圧に悩む人はいないものかと、旧TwitterやInstagramなどでキーワード検索をしてみると、いるわいるわ、やはり多くの人が高血圧で苦しんでいるようだ。その中で、自分の血圧の数値を何年もつぶやき続けているなんともストイックなアカウントを見つけた。何故だろう。毎朝毎晩の測定結果の写真を載せているだけなのに、ただそれだけなのに、その数値から、素性も顔も知らない人間の人生を感じる。わかる、わかるよ。血圧ってなかなか下がらないよな。私も一緒だよ。あなただけじゃない。一緒に頑張ろうぜ。
 今から十五年ほど前、生活苦から借金の自転車操業に陥っていた私は、毎月の返済で消費者金融のATMを訪れるたび、備え付けのゴミ箱に捨てられている名も知らぬ人の明細書を拾っては、そこに書かれている借金残高を確認し、自分以外にも借金と闘っている人が存在するんだなと勇気づけられたのを思い出す。

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  やる気を取り戻した私は、ある大きな決断を下す。もう四の五の言っている場合ではないし、流行に乗っかることを恥ずかしがっている暇もない。
 巷で大人気の「チョコザップ」とやらを始めてみようと思うのだ。
 さらなる健康促進と高血圧改善のためには、空いた時間を有効活用しての運動量を増やすしかない。
 次回、「爪切男、はじめてのチョコザップ」にご期待ください。

太り過ぎではなく太りぎみでよかった
太り過ぎではなく太りぎみでよかった

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当連載は毎月第2、第4日曜更新です。次回は1月28日(日)配信予定です。お楽しみに!

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新刊紹介

爪切男

つめ・きりお●作家。1979年生まれ、香川県出身。
2018年『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)にてデビュー。同作が賀来賢人主演でドラマ化されるなど話題を集める。21年2月から『もはや僕は人間じゃない』(中央公論新社)、『働きアリに花束を』(扶桑社)、『クラスメイトの女子、全員好きでした』(集英社)とデビュー2作目から3社横断3か月連続刊行され話題に。
最新エッセイ『きょうも延長ナリ』(扶桑社)発売中!

公式ツイッター@tsumekiriman
(撮影/江森丈晃)

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