よみタイ

東京都議会議員選挙でまず伝えるべき結果は「投票に行った有権者、過半数に届かず」だ!

投票率は42.39%で、前回を8.89ポイント下回った

 今回の都議選の投票率は42.39%で、前回の51.28%を8.89ポイント下回った。私は「民主主義応援団」を自称しているが、選挙の楽しさ、立候補の意味、参加することの大切さを伝えられなかった。もっと多くの人が「選挙」に注目してくれれば、こんなに低い投票率になることはなかったはずだ。

 選挙は誰が出てもいい。立候補した人にはそれぞれ思いがある。現場に行けば、そこでしかわからない感動もある。私は「選挙は民主主義のお祭りだ」と伝えたくて、とくに多くのメディアから注目されない候補者の取材に力を入れてきた。彼・彼女たちの戦いは、一部の政治エリートよりも、私たち有権者に近いと思ってきたからだ。

 私は今回も、自分で政党や政治団体を立ち上げた人、生活保護を受けながら立候補した人、街頭演説を一切せずにゴミ拾いを続けた人、政党公認候補なのに選挙中に始発から終電まで駅前で困りごと相談をした人など、多様な候補者に出会った。

 その中には、当選した人もいれば、落選した人もいる。得票数が少なかったために60万円の供託金を没収された人もいる。

 それでも「ゼロ票」という候補者は一人も出なかった。多くの人から責められても、立候補すれば支持する人は必ずどこかにいる。だから選挙に立候補したことを後悔する人はいない。必ず学びや得るものがある。すべての候補者たちは、選挙の素晴らしさを周りの人たちに伝える大仕事を成し遂げている。

この連載でも過去に2度紹介した、生活保護を受けながら立候補した武田完兵候補。(撮影/畠山理仁)
この連載でも過去に2度紹介した、生活保護を受けながら立候補した武田完兵候補。(撮影/畠山理仁)
1 2 3 4

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Facebookアカウント
  • よみタイX公式アカウント

新刊紹介

畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』『コロナ時代の選挙漫遊記』(ともに集英社)などの著書がある。またその取材活動は『NO 選挙, NO LIFE』(前田亜紀監督)として映画化された。
公式ツイッターは@hatakezo

週間ランキング 今読まれているホットな記事