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畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」
20年以上、国内外の選挙の現場を多数取材している、開高健ノンフィクション賞作家による“楽しくてタメになる”選挙エッセイ。

前回の第11回では、コロナ禍で選挙の延期もされない中、過去の選挙で「ベーシックインカム」など未来を予見する政策を訴えていた候補者たちについてお伝えしました。
今回はまさに昨日、4月26日(日)に投開票された衆議院静岡4区補欠選挙の舞台裏を最速レポートします。

田中けん(42才)vs田中けん(54才)! 候補者顔写真取り違え! 投票率は約20%の大幅減少! 静岡4区補欠選挙は私たちに何を教えてくれたのか

ふかざわ候補の第一声。マスク着用で握手もなし。(撮影/畠山理仁)
ふかざわ候補の第一声。マスク着用で握手もなし。(撮影/畠山理仁)

緊急事態宣言下での初の国政選挙

「当確、出ました〜!」

 投票箱が閉まると同時に出された「当確」。あまりにもあっけない幕切れだった。
 望月義夫元環境相の死去にともなって行なわれた衆議院静岡4区補欠選挙(4月14日告示、4月26日投開票)。午後8時に地元TV局のSBSが「ふかざわ陽一候補当確」を「ゼロ打ち(事前の情勢調査などからメディアが開票ゼロの段階で当確を出すこと)」すると、自民党公認・公明党が推薦する深沢候補の事務所前に集まった支援者たちからは大きな拍手が起きた。

 より正確に言う。
 この日、ふかざわ陣営は支援者を事務所に呼んではいない。それでもやはり、直接お祝いを言いたい人たちが集まってしまったのだ。
 実は、私が事前に「開票日をどう迎えるか」と問い合わせた時には、こんな答えが返ってきていた。

「セレモニーなどは行いません。事務所も夜には閉めて何もしません。結果が出れば事務所前で報道陣の取材は受けますが、支援者と何かをするいうことはありません」

 しかし、投票箱が閉まる午後8時前には、報道陣だけでなく熱心な支援者が集まった。
 もちろん、新型コロナウイルスへの対策が取られていなかったわけではない。候補者も陣営幹部も支援者も全員がマスク姿だ。
 事務所内には関係者以外が入れないように、入り口にスタッフが立っていた。取材対応はコーンとバーで仕切られた屋外のスペースで行なわれた。いわゆるソーシャルディスタンス。人と人との距離を取るためだ。
 午後8時。当確の一報を受けて事務所の外に出てきた候補者は、深々と頭を下げた。しかし、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で行なわれた選挙であることを鑑みて、バンザイも握手もなし。やむなく誰かと接触するとしても、腕と腕とを外側でタッチさせるだけの軽い接触だった。

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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