よみタイ

畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」
20年以上、国内外の選挙の現場を多数取材している、開高健ノンフィクション賞作家による“楽しくてタメになる”選挙エッセイ。

前回の第32回では首相や各省庁など政府の会見の裏側にある「不公平」な現実をお伝えしましたが、記事中写真にも掲載されている山田内閣広報官が、まさに今日、辞職する騒ぎに! 改めてぜひこちらもご一読ください。

そして今回は、第31回で大きな話題となった埼玉県戸田市議会議員選挙で当選した「スーパークレイジー君議員」のその後について。

埼玉県戸田市が燃えている! スーパークレイジー君議員当選後に起きた「予想通りのこと」と「予想外のこと」

当選後も全国的に話題になっているスーパークレイジー君議員。(撮影/畠山理仁)
当選後も全国的に話題になっているスーパークレイジー君議員。(撮影/畠山理仁)

熱いメールはスーパークレイジー君議員本人にも必ず送ってほしい

 初当選から全国的な注目を集める市議会議員はなかなかいない。1月31日に埼玉県戸田市議会議員選挙で当選したスーパークレイジー君(本名・西本誠)議員のことだ。
 
 普通であれば、選挙が終わったところで世間の注目は落ち着く。市議会議員の活動に興味を持つ人は、世の中にそれほど多くないからだ。私が選挙の現場で出会ってきた一般有権者たちの多くも、政治家の印象を次のように語ってきた。

「4年に一回、選挙のときだけ外に出てくるセミみたいな人たち」

 残念ながら、私は多くの有権者からこのような言葉を聞いてきた。
 もちろん、目立たないだけでしっかり仕事をしている議員もいる。市議の仕事に見向きもしない有権者にも問題がある。だから政治家はもっと表に出たほうがいいし、有権者はもっと政治家のことを知ろうとしたほうがいい。きっかけが何であれ、政治家と有権者の間にコミュニケーションが生まれれば、政治はもっと良くなっていく。

 その意味で、当選から1か月が経った今でも注目を集めるスーパークレイジー君議員は大きな仕事をしたといえるだろう。これまで他の議員ができなかった「世間の注目を集め続ける」という大切な仕事を続けている。
 インターネット上では「戸田市の有権者は正気か」「ふざけて入れたんだろう」などと実情を知らずに批判する人たちも少なくない。しかし、貴重な一票の責任を取るのは戸田市の有権者だ。ネット上では批判の声が上がっていても、私の元には戸田市の有権者から「スーパークレイジー君に期待する」「新しい空気を入れてくれることを応援する」というメールが何通も寄せられた。これまで選挙に行かなかった若い人たちからだけではない。選挙に欠かさず行っていた人たちからも届いている。

「私はスーパークレイジー君に落ちてほしかったです。ギリギリで引っ越してきて、ふざけたポスター。どこでも使い回せる公約で、議員になりたいだけで戸田市に来たのではないか。落ちたら引っ越すんでしょ、と感じました。戸田市が馬鹿にされたと思いました」

 そんなメールも来た。それでもメールの文面には「当選して頑張ってくれると期待しています」という言葉があった。
 とにかくスーパークレイジー君について語られるメールは内容が熱い。これはなかなかないことだ。私はそうしたメールを読みながら、「間違っている」とも思った。
 内容ではない。宛先だ。私に送ってくれるのは嬉しいが、こうしたメールはスーパークレイジー君議員本人にも必ず送ってほしい。それがこれからのスーパークレイジー君議員の仕事に確実に生きてくるはずだ。

1 2 3 4 5 6

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Twitterアカウント
  • よみタイ公式Facebookアカウント
畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

週間ランキング 今読まれているホットな記事