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ゲリラ街宣にはゲリラ取材。演説場所を教えてくれない、れいわ新選組・山本太郎代表を探せ!

20年以上、国内外の選挙の現場を多数取材している、開高健ノンフィクション賞作家による“楽しくてタメになる”選挙エッセイ。 前回の第20回はタイトルのとおり、「消息を絶ったホームレス区長候補者を探す選挙のない暑い夏」についてお伝えしました。 今回は、安倍晋三首相が辞意を表明した8月28日。日本中がその話題で持ちきりだった同日夜、れいわ新選組・山本代表と著者との間に起こったすさまじい戦いとは?

2017年都議選、秋葉原駅で応援演説をする安倍首相。首相としてのこういう姿を見ることはもうない。(撮影/畠山理仁)
2017年都議選、秋葉原駅で応援演説をする安倍首相。首相としてのこういう姿を見ることはもうない。(撮影/畠山理仁)

自民党総裁選に投票できる人は限られる

 安倍晋三首相が8月28日に辞意を表明した。これにより、「次の総理・総裁は誰になるのか?」に世間の注目が集まっている。
 現時点では、新しい自民党総裁の選び方や日程はまだ決まっていない。しかし、9月中旬頃には新しい総裁が決定される。そして、新しい首相も誕生する見込みである。

 ここで残念なお知らせがある。
 世間は大いに湧いているが、自民党総裁選で投票する権利があるのは自民党員だけだ。しかも、現段階では党員投票が行われるかどうかは不透明である。
 ひょっとすると党員投票は行われず、両院議員総会での国会議員票(394票)と都道府県の支部票(3票ずつ・141票)で争われることになるかもしれない。

「この国のリーダーを選ぶ選挙で自分も一票を投じたかった」
 そう悔やんでも遅い。私たちは間接的にではあるが「総理大臣を選ぶ選挙に参加する権利」をすでに使ってしまっている。
 その権利とは、衆議院議員総選挙、参議院議員選挙など、国政選挙での一票である。
 私たちには「一票」を行使する機会が確実にあった。そして、約半数の人たちが投票に行かなかった。その結果、自民党と公明党が与党になっている。
 総理大臣は私たちが選んだ国会議員の中から選ばれる。多くの場合、与党第一党のリーダーが選ばれる。安倍首相は国会議員の職にとどまると明言しているから、国会の勢力図にも変化はない。だから今回も次のリーダーは自民党の中で決めることになる。

 つまり、今回の自民党総裁選は「国政選挙の結果の延長線上」で起きている事象だ。いくら騒いでも、今回ばかりは自民党員以外がどうこうできる問題ではない。
 有権者のみなさんは、そのことを強く自覚したほうがいい。自分たちで国のリーダーを選びたければ、自分が応援する政党を与党にする必要がある。その意味で、現在の自民党員は「勝ち組」だ。選挙を一生懸命にやり、結果を出した人たちだけが総裁選びに関与できる。
 もっとも、今回はそうした人たちでも関与できない可能性がある。だからこそ、政治に物申すチャンスは逃すことなく、どんどん使っていくべきだろう。

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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