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「ポテンシャルが高く、真剣に楽しめる」大注目の名古屋市長選挙戦、最速&候補者4名の告示日レポート!

昨年7月の東京都知事選にも出馬していた押越氏。今回も全国の支援者が供託金を寄付してくれたそう。(撮影/畠山理仁)
昨年7月の東京都知事選にも出馬していた押越氏。今回も全国の支援者が供託金を寄付してくれたそう。(撮影/畠山理仁)

やさしい語り口なのに、主張がものすごく激しい押越清悦氏

 最後に会えたのは押越清悦氏だ。押越氏は昨年7月の東京都知事選にも出ていたので面識がある(2708票で落選)。告示日の演説場所は人通りの多い栄の三越前。今回も東京都知事選のときと同じく、全国の支援者が供託金を寄付してくれたという。

「お疲れさまです!」

 私の姿を見つけた押越氏が快活な挨拶をしてくれた。そして手際よく準備をすると、すぐに街頭演説を始めた。選挙戦を手伝ってくれる人も5人ほどいる。

「選挙公報がもうすぐ出ますから、私たちの主張はそこにかかれているのでよかったら読んでくださ〜い」

 ものすごく低姿勢で有権者にお願いをしている。押越氏はマイクを持って演説を続けた。

「私は選挙公報に、こう書きました。『公明亡国! 自民国賊! 公安天魔! 創価無間地獄!』。こういうふうに選挙公約じゃないんですけどキャッチフレーズで入れておりま〜す」

 やさしい語り口なのに、主張がものすごく激しい。都知事選のときと言っていることに変化はないが、毎回びっくりする。演説を聞いていると「今の社会には裏がある」という主張が盛り沢山だ。そこを明らかにしたい、というのが押越氏の主張である。

「集団ストーカーという世の中に知らされていない犯罪を知らせてほしいということで立候補しております」

 通りがかった人たちもびっくりした様子で通り過ぎていく。しかし、なかには足を止めて押越氏の訴えに相槌をうつ人もいた。そんな押越氏を金銭面で支援する人がどこかにいるから、押越氏は選挙に出ることができている。
 選挙は出てみなければ、どこに共感する人がいるのかわからない。自分には受け入れがたいと思う主張でも、世の中にはその主張に共感する人もいる。押越氏の存在は、世界の広さや多様性を教えてくれる。そして、誰に入れるかの判断はそれぞれの有権者に任されている。有権者の権利が侵害されているわけではない。
 すべての候補者は、被選挙権という民主的に認められた権利を正当に行使しているだけだ。そして、今の社会では、この権利を行使するためには大変な勇気がいる。主張に賛同できるかどうかは別として、愚直に訴えを続ける勇気には誰もが共感できるのではないだろうか。

 私は選挙のたびに思う。

「候補者のいいところを足して割ることができたらいいのに」

 しかし、実際にはそれはかなわない。市長選挙の場合、当選するのは1人だけだからだ。
 だからこそ、有権者も候補者も、自分の考えや要望を表立って伝えることが必要だ。伝えることで、その意見は社会にとっての「金言」に変わる可能性がある。
 まずは参加することが大切だ。名古屋市長選挙のこれからの盛り上がりに期待したい。

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新刊紹介

畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』『コロナ時代の選挙漫遊記』(ともに集英社)などの著書がある。またその取材活動は『NO 選挙, NO LIFE』(前田亜紀監督)として映画化された。
公式ツイッターは@hatakezo

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