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踊らない! 歌わない! 戸田市議会議員選挙で、スーパークレイジー君はなぜ当選できたのか?

都知事選で別の候補者を熱心に応援していた若者たちが手伝っていた

 現場で選挙を見ていない人は、「なぜ912票も入ったのか」と不思議に思うかもしれない。
 しかし、スーパークレイジー君の活動を生で見た人たちは理解しているはずだ。スーパークレイジー君の周りには、多くの人たちが集まってきた。

 選挙を手伝うスタッフの中には、都知事選で別の候補者を熱心に応援していた若者たちもいた。彼らは街頭で法定ビラを配ることにも慣れていた。そんな彼らがスーパークレイジー君の活動を手伝って口にしたのは、次のような言葉だった。

「ビラを受け取ってくれる人の確率がすごい。9割ぐらいの人が受け取ってくれる。政治のビラ配りは無視されるのが基本で、受け取ったそばから捨てられることもある。それなのにスパクレ君のビラだと反応がいい。みんな興味を持ってくれる。そして中身を読んだら『真面目じゃん!』と感動してくれる。ものすごく珍しいことだと思います」

 もちろん候補者本人もビラを配った。一人ひとり、丁寧に手渡した。求められればビラにサインも書いた。2ショット写真も撮った。LINEも交換して一人ひとりとつながった。

 候補者本人からビラを受け取った人たちは「イケメン!」「こんなに気軽に話せる政治家はいなかった」「真面目で驚いた」「頑張って」と次々に声をかけていく。すると、スーパークレイジー君はすかさず決め台詞を言う。

「期日前投票、すぐそこでできます。投票所入場券が手元になくても手ぶらでできます。明日になると忘れちゃうかもしれないから、時間があるなら今から行きませんか。ほんの2、3分で投票できます」

 若い女性が「私、これまで一度も投票したことがないんです」と戸惑うと、期日前投票所までの道順を丁寧に伝えた。その後も駅前でビラ配りを続けていると、先の女性が戻ってきて嬉しそうに報告した。

「初めて投票してきました。本当にすぐでした。こんなに簡単にできるんですね!」

 私はこうした光景を短時間に何度も見た。

「スパクレ君のビラだと反応がいい。みんな興味を持ってくれる。そして中身を読んだら『真面目じゃん!』と感動してくれる」(選挙スタッフ)(撮影/畠山理仁)
「スパクレ君のビラだと反応がいい。みんな興味を持ってくれる。そして中身を読んだら『真面目じゃん!』と感動してくれる」(選挙スタッフ)(撮影/畠山理仁)
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新刊紹介

畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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