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日本370人、イラン約7500人! 国会議員選挙立候補者数の違いから考える「供託金」問題

選挙の専門家、法律家、大学教員などの有識者で構成される「選挙市民審議会」。発足は2015年。(撮影/畠山理仁)
選挙の専門家、法律家、大学教員などの有識者で構成される「選挙市民審議会」。発足は2015年。(撮影/畠山理仁)

選挙市民審議会の「新市民選挙法」がスゴい!

 高額な供託金をポンと出せる人は、そこまで多くない。だから、選挙に立候補する人たちの属性はかなり絞られる。有権者の代表として選ばれるはずの政治家が、現状では「一部の人の代表」にとどまる可能性がある。

 それでは、日本の選挙制度はこのままずっと変わらないのだろうか?

 筆者はそうは思わない。誰もが同じ重さの一票を持つ「普通選挙」が存在する限り、すべては自由自在。変えるも変えないも、有権者の一票で決められるからだ。

 今、日本国籍を有する18歳以上の男女には、等しく一票を投じる権利=選挙権が保障されている。年収数億円の人も無職の人も同じ「一票」。つまり、一人ひとりの投票行動が、社会に大きなインパクトを与える可能性を秘めている。
 しかし、今は選挙になじみがない人が多いため、参加人口が少ない。選挙のルールも複雑で、選挙期間も短かい。

 そんな中、自由で楽しい選挙をめざし、市民の側から新しい選挙法を制定しようという動きが出てきた。

 中心となる団体の名前は「選挙市民審議会」。メンバーは選挙の専門家、法律家、大学教員などの有識者で発足は2015年。そこから会議を重ね、2019年12月31日付で第二期答申を発表した。

 筆者は勝手に「おカタイ団体」というイメージを持っていたが、実際に答申を読んで驚いた。同団体が提唱する「新市民選挙法」の内容は多岐にわたるが、どの提案も刺激的で、なおかつ、わかりやすかったのだ。
 ページの都合上、今回は筆者の注目ポイントに絞って紹介する。

・供託金0円
・被選挙権年齢18歳
・選挙運動の自由化と選挙運動期間の撤廃
・立会演説会の復活
・首長選挙での決選投票導入
・企業、団体による政治献金の全面禁止
・抽選制議会の可能性

 かなり思い切った提案が並んでいるが、どれも一考の価値がある。なによりも共感できるのは、「みんなで政治に関わり、民主政治を育てよう」という同会の姿勢だ。選挙のあり方は、誰もが自由に楽しく語っていい。
 この答申を読めば、今の選挙制度のいびつさが浮き彫りになるはずだ。筆者は答申を読んだ後、政治家にこう言いたくなった。

「本来、これは政治家がなすべき仕事では?」

「選挙市民審議会」が発表した2019年12月31日付の第二期答申資料。(撮影/畠山理仁)
「選挙市民審議会」が発表した2019年12月31日付の第二期答申資料。(撮影/畠山理仁)

記事がもっと深くわかる【関連リンク】はこちらから!

公平・平等な選挙改革にとりくむプロジェクト(選挙市民審議会事務局)

「自由で楽しい選挙をめざして〜選挙市民審議会答申 発刊記念」イベント(2020年2月21日の録画配信)

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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