2020.3.2
日本370人、イラン約7500人! 国会議員選挙立候補者数の違いから考える「供託金」問題
選挙市民審議会の「新市民選挙法」がスゴい!
高額な供託金をポンと出せる人は、そこまで多くない。だから、選挙に立候補する人たちの属性はかなり絞られる。有権者の代表として選ばれるはずの政治家が、現状では「一部の人の代表」にとどまる可能性がある。
それでは、日本の選挙制度はこのままずっと変わらないのだろうか?
筆者はそうは思わない。誰もが同じ重さの一票を持つ「普通選挙」が存在する限り、すべては自由自在。変えるも変えないも、有権者の一票で決められるからだ。
今、日本国籍を有する18歳以上の男女には、等しく一票を投じる権利=選挙権が保障されている。年収数億円の人も無職の人も同じ「一票」。つまり、一人ひとりの投票行動が、社会に大きなインパクトを与える可能性を秘めている。
しかし、今は選挙になじみがない人が多いため、参加人口が少ない。選挙のルールも複雑で、選挙期間も短かい。
そんな中、自由で楽しい選挙をめざし、市民の側から新しい選挙法を制定しようという動きが出てきた。
中心となる団体の名前は「選挙市民審議会」。メンバーは選挙の専門家、法律家、大学教員などの有識者で発足は2015年。そこから会議を重ね、2019年12月31日付で第二期答申を発表した。
筆者は勝手に「おカタイ団体」というイメージを持っていたが、実際に答申を読んで驚いた。同団体が提唱する「新市民選挙法」の内容は多岐にわたるが、どの提案も刺激的で、なおかつ、わかりやすかったのだ。
ページの都合上、今回は筆者の注目ポイントに絞って紹介する。
・供託金0円
・被選挙権年齢18歳
・選挙運動の自由化と選挙運動期間の撤廃
・立会演説会の復活
・首長選挙での決選投票導入
・企業、団体による政治献金の全面禁止
・抽選制議会の可能性
かなり思い切った提案が並んでいるが、どれも一考の価値がある。なによりも共感できるのは、「みんなで政治に関わり、民主政治を育てよう」という同会の姿勢だ。選挙のあり方は、誰もが自由に楽しく語っていい。
この答申を読めば、今の選挙制度のいびつさが浮き彫りになるはずだ。筆者は答申を読んだ後、政治家にこう言いたくなった。
「本来、これは政治家がなすべき仕事では?」