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畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」
20年以上、国内外の選挙の現場を多数取材している、開高健ノンフィクション賞作家による“楽しくてタメになる”選挙エッセイ。
第1回は、「選挙は大切なもの」「政治家は信用できない」「投票すべき候補がいない」などと言いながら、それが結局、「政治家にとって都合のよいお客さん」になっている現状についてのイントロダクション的なストーリー。

数字で一目瞭然! あなたは「お金は出すが全く口は出さない、政治家にとって都合の良いお客さん」ではないですか!?

2016年の東京都知事選取材にて。出馬した根上隆候補に拳銃(おもちゃの)を向けられた著者。これも選挙の現場なのである。(撮影/畠山理仁)
2016年の東京都知事選取材にて。出馬した根上隆候補に拳銃(おもちゃの)を向けられた著者。これも選挙の現場なのである。(撮影/畠山理仁)

「すべての選挙にはドラマがある!」

 みなさんは、選挙に立候補した人が自分の目の前で股間をあらわにする瞬間を目撃したことがあるだろうか。
 候補者におもちゃのピストルを向けられ、「バーン」と撃たれたことがあるだろうか。
 黒いスーツを着たSPに両脇を固められて演説を聞いたことがあるだろうか。
 「記事を書いてくれてありがとう」と候補者に言われた翌日に「お前を訴える。法廷で会おう」と言われたことがあるだろうか。

 私はすべてある。しかも、これらは私が20年にわたる選挙取材で実際に経験してきたことの、ほんの一部にすぎない。

 たった数行では語れないほどのエピソードが選挙にはある。スリルにあふれ、次の瞬間には何が起きるかわからない。だから選挙の現場は面白い。ぜひ、みなさんにもそんな感覚をわかってほしくて連載を始めることにした。

 私は20年以上、国内外で選挙の取材をしてきた。わりといろんなタイプの選挙を自分の目で見てきたほうだと思う。
 海外の選挙でいえば、アメリカ大統領選挙、上院議員選挙、カリフォルニア州知事選挙、ロシア大統領選挙、台湾総統選挙。
 日本の選挙でいえば、衆議院議員総選挙、参議院議員選挙などの国政選挙はもちろん、全国各地の知事選挙や市長選挙、区長選挙、町長選挙などの首長選挙も見てきた。さらには、都道府県議会選挙、市区町村議会選挙にとどまらず、村議会の補欠選挙(無投票)にまで足を運ぶほどになった。

 それでもまだ「お腹いっぱい」にはならない。全く飽きない。まだまだ「選挙を生で見たい」という欲がある。なぜなら、この世に同じ選挙はふたつとないからだ。

 勝てば天国、負ければ地獄――。だから候補者も支援者も必死で当選を目指して戦う。登場人物には、安定のベテランもいれば、一発屋のように消えていってしまう人もいる。勝ち続ける人もいれば、負け続ける人もいる。なかには立候補したものの、まったく選挙運動をしないまま落選していく人もいる。謎だ。

「選挙は最高のドラマ」だと言っても過言ではない。

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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