2020.2.3
政策ブラインドテストでわかる「日本の有権者は本当に政策を重視して投票しているんですか問題」
選挙の本を書いたことで「有権者向けの講演を」と依頼される機会が増えた。最初は「私なんかでいいのかな?」と恐縮していたが、回を重ねるごとに楽しさが増している。私が選挙現場でのエピソードを披露すると、みなさんが予想以上に「へぇ〜!」と驚いてくれるからだ。
私の講演会では「選挙クイズ」も出題するようにしている。たとえば、「2016年7月執行の東京都知事選には何人が立候補していたか?」というような問題だ。
わかりやすいように3択にしているが、意外にも正解者が少ない。さすがに選挙管理委員会や明るい選挙推進協会のみなさんは正解してくれるが、一般の人だと正答率がぐっと下がる。選挙に行って一票を投じた人でも、なかなか細かい話までは覚えていないのだ。
ちなみに、先のクイズの正解は「史上最多の21人」。私のように全候補をナマで見た人間は、世間では選挙に詳しい部類に入る。
講演会が楽しい理由はもう一つある。私が取材してきた選挙現場の映像を解説つきで観てもらうと、一瞬で「なぜ私が20年以上も楽しく選挙取材を続けられたか」が伝わるからだ。しかも、かなりの確率で爆笑が取れる。みなさん、本当に楽しそうに動画を見てくれて、「こんな戦いもあったのか」と、選挙に対する見方を変えてくれる。
私が動画を撮影するのは、「私の他に目撃者がいない」ケースが多いからだ。最初は「本当にこんなことがあった」という記録や証拠を残すために撮影していた。
しかし、何度も見返したくなるような名シーンに出会ってきた。講演では「おすそ分け」のつもりで流しているが、ものすごく評判がいい。私もそうした映像のストックには自信がある。私は講演で爆笑を取るたびに、みなさんが意外と「選挙の現場」を見ていないことに驚かされるのだった。
選挙における街頭演説はすべてがライブだ。やり直しがきかない。しかも、どんな聴衆が来るかもわからない。大ホールなのに聴衆が数人という演説会もあった。だから結構な確率で名シーンに出会える。感動シーンもあれば爆笑シーンもある。聴衆が飛ばした野次一つ、候補者や応援者の言葉一つで空気は一変する。
実は多くの人が、「報道ベース」で選挙を見ている。そのため、選挙の醍醐味である「ライブ」の面白さを見逃している。これは同時代を生きる者として、非常にもったいないと私は思う。