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畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」

政策ブラインドテストでわかる「日本の有権者は本当に政策を重視して投票しているんですか問題」

2017年7月の東京都議会議員選挙。あの「こんな人たちに負けるわけにはいかない」発言があった秋葉原駅前での街頭演説。ライブだからこそ遭遇するいろんなシーンがある。(撮影/畠山理仁)
2017年7月の東京都議会議員選挙。あの「こんな人たちに負けるわけにはいかない」発言があった秋葉原駅前での街頭演説。ライブだからこそ遭遇するいろんなシーンがある。(撮影/畠山理仁)

「選挙公報ブラインドテスト」の実験で推測できること

 選挙をエンターテイメントとしてとらえることに批判的な人もいるだろう。しかし、面白いものは面白い。それはそれとして楽しめばいいと私は思っている。

 投票率が50%を切っている現状で、「選挙のエンタメ化は不謹慎だ」などと言っている場合ではない。まずは有権者が当事者としての自覚を持つことが大切だ。自覚がないまま投票してしまうと、選挙結果が出てから後悔することになる。あとの祭りだ。

 もし、自分で情報収集をした上で、「この候補は当選させるべきではない」と思ったら、その人に投票しなければいい。「このアイデアは社会で共有したほうがいい」という政策があれば、自分が応援する候補に「取り入れてほしい」と頼むのも一つの手段だ。「この人にがんばってほしい」と思えたら、全力で応援すればいい。そうした決断を自由に下せるのは、主権者である「あなた」だけだ。

 こうした前提をクリアした上で、伝えたいことがある。それは、メディアが伝える候補者と実際に見る候補者の間にはギャップがあるということだ。その差があまりにも大きいと、結果が出た後に「こんなはずではなかった」と後悔することになる。私が「できれば候補者本人をナマで観てほしい」と訴え続ける理由はここにある。
 
 私は各地で講演を重ねるうちに、一つの確信を得るにいたった。それは「有権者が真剣に候補者を吟味すれば、投票行動に変化が起きる」ということだ。

 みなさんは「なぜ、そんなことが言えるのか」と怒るかもしれない。「すでにきちんと吟味している」というかもしれない。しかし、私は自信がある。それは私が講演の度に「ある実験」を行ってきたからだ。

 私は有権者に向けた講演をする際には、当該地区で行なわれた直近の選挙の選挙公報を使って「ブラインドテスト」を行っている。

 やり方を簡単に説明する。まずは候補者の名前と顔写真が見えない状態にする(ブラインド)。そして「各候補の主張」だけを抽出し、それを頼りに「誰が一番多くの票を得たか」を予想してもらっている。

 私がこの実験をする理由はただ一つ。選挙での投票先を選ぶ基準の第一位に「政策」と答える有権者がもっとも多いからだ。

 もし、有権者が本当に「政策」を重視しているのであれば、ブラインドテストでも実際の選挙に近い結果が出るはずだ。だから顔写真と名前を隠して「政策」で勝負してもらっている。

 これをやると、非常に面白いことが起きる。実際の選挙結果通りの圧勝になることもあれば、実際の結果とは違った大接戦になることもある。それどころか、全く逆の結果が出ることまである。つまり、「ブレる」のだ。

 口では「政策」重視と言っていても、実際にはそれ以外の要素、たとえば「顔写真」「名前」「政党」など、他の要素が投票行動に影響してくることが推察できる。

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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