2021.11.10
ドライブで行ける人外魔境入り口=富士山五合目で、冬の背中にタッチ!
秋を飛び越し冬の空気を味わいたくて、目指したのは富士山五合目
そういう七面倒くさい話が割と好きなので、気候のことをさらに書かせてもらいますが、標高が100メートル増すごとに気温は約0.65度ずつ下がっていくので、約1000メートルの高地にある山中湖村は低地と比べ、同じくらいの緯度であっても約6.5度も気温が低いということになります。
そしてその山中湖村よりさらに約2700メートルも高い富士山は、登れば登るほどどんどん気温が下がっていきます。まあ、当たり前の話なんですけど。
標高2000メートル以上の山の上は、“高山気候”と呼ばれる特殊な気候帯に属しています。
この気候を体感するためには、本格的な装備で身を固めてエッチラオッチラと山を登らなければなりません。
そして自慢ではありませんが、僕はこれまでの人生で、そんなマジな登山をしたいと思ったことなど一度もありません。
でも湖畔から紅葉越しに雪化粧の富士山を眺めていたら、不意に思いました。
「ああ、あそこに行ってみたい」と。
あの雪が積もっている下端は、きっと五合目付近。富士山の五合目といえば、まさに高山気候。そこまで行けば、季節はもう冬のはず。
秋から冬への季節の変化を、ドーピング的に味わえるではないか!
と、思ったのです。
いくつかある富士山五合目地点のうち、山梨県側にある吉田口は自動車道が整備されていて、誰でも車で気軽に登っていくことができます。
思いたったらすぐ行動。
愛車を走らせ、富士スバルラインに向かいました。目指すは吉田口富士山五号目、標高2300メートル地点です。
一合目から三合目あたりまでは、アカマツやシラカバ、ウラジロモミ、カラマツなどの林が続く低山地帯。
青い空に赤や黄色の葉が映え、とても綺麗です。
あ〜秋ですなあと思いながら、カーステレオでスモーキー・ロビンソンのソフトでメロウな古い歌など流しつつ、気分上々で登っていきました。
しかし四合目に入ったあたりから紅葉は消え、雰囲気一変。
針葉樹の多い、いかにも高山らしい景色になっていきます。このあたりからは、亜高山帯に属するのだそうです。
そして本格的な高山帯に入る四合目終わりまで来ると、さらに様相が変わります。
「森林限界」と呼ばれる境界線を越えたため高い木々の姿はなくなり、背の低い灌木が多くなります。
道路脇にはチラチラと雪が見えはじめ、考えていたとおり季節が秋から冬へと一気に進んだような錯覚を覚えました。