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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

往年のUKバンド公式グッズとしてマスクが売られる時代になりました

バンドTシャツをはじめアーティストグッズが好きで、ライブ会場の物販コーナーやバンドのウェブサイトをチェックしては、なんやかやと購入している。
ライブの場合、チケット代よりもそうしたグッズ代の方が高くつくこともままあるが、アーティストにとって物販は馬鹿にできない収入源。
マイナーなバンドほど、ライブや音源の販売で得られる収入はわずかなもので、物販に命をかけている場合がある。
だから僕は応援の意味を込めて、好きなバンドのグッズを積極的に買うことにしている。

1980年代後半〜1990年代前半に盛り上がった、イギリス・マンチェスターを中心地とするダンサブルなロックムーブメント、マッドチェスターの雄であるハッピー・マンデーズ。このクラスのバンドなら、そんな心配は杞憂かもしれない。
でも、1993年に一旦解散したのち1999年に再結成したのは、ボーカルリストのショーン・ライダーをはじめとするメンバーの借金解消を目的としていたからだという。
その後も往年のファンに支えられてはいるものの、かつてのビッグセールスなどは期待できないから、やっぱり心配してあげるべきなのか。

エラそうにそんなこと言っておりますが、単純な話こちらは30年来のファンなので、ハッピー・マンデーズの公式サイトを定期的にチェックしていた。

マンデーズファンにならきっと分かってもらえるこのセンス

そしたら先日、こんなものが売り出されているのを発見したのです。
世界的なコロナウイルス蔓延に対応した、フェイスマスクである。
ブラックの布製で、前面にはファンならすぐにそれとわかる、ハッピー・マンデーズ一流のドラッギーに揺らめく書体で、歌詞フレーズなどがプリントされている。

しかし、もともと薬の密売を生業にしていた街のど不良揃いのハッピー・マンデーズ。
ムーブメント全盛期もドラッグや暴力など、様々な問題があとを絶たなかった彼らが、こんな健康グッズをひさぐ日が来るとは。えらい時代になったもんだ。
まあ、シャレなんだろうけど。

プリントは僕が選んだ「YOU’RE TWISTING MY MELON MAN」「CALL THE COPS」(いずれも代表曲『Step On』の歌詞から)のほか、「24 HOUR PARTY PEOPLE」「HAPPY MONDAYS」バージョンがあった。
ちょっとパーティグッズのように見えるかもしれないけど、わかる人にだけ「お」と思ってもらえればよし。
今の季節にはまだちょっと暑いので、もう少し涼しくなったらこれをつけて一人rave onするのだ。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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