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大坂なおみが試合で着用するマスクから伝わるもの〜大坂なおみ(プロテニス選手)

広島カープを、プロ野球を、いやいやスポーツ界をこよなく愛するイラストレーター、オギリマサホ。その愛ゆえか、職業柄か、なんだか気になる、なんとも魅かれる、スポーツ選手たちの顔、顔、顔……見渡せばスポーツ界にはイケてる顔面が大豊作。愛すべきその面々、ちょっと斜め下から分析しちゃいます!
大坂なおみ(おおさか・なおみ)●1997年10月16日大阪府大阪市出身。日本人の母親とハイチ系アメリカ人の父親を持ち、3歳の時にニューヨーク、アメリカに移る。現在はフロリダを拠点にプロテニスプレーヤーとして活動中。
2013年のプロ転向後、どんどん躍進を遂げ、2018年にはWTAツアー、グランドスラム初優勝、2019年には全豪オープン初優勝で、男女を通じてアジア初の世界ランキング1位となった(2020年8月31日現在は9位)。

牙をむくヴェノムのキャラクターマスクを着用していた大坂選手

コロナ禍のこのご時世、マスク姿の有名人をテレビで見かけることも珍しくなくなった。
しかし8月、テニスのウエスタン・アンド・サザンオープンに出場した女子シングルス・大坂なおみのマスク姿を見て、度肝を抜かれた。大坂の着けていた黒地のマスクには、吊り上がった目と、牙をむいた大きな口が描かれていたからである。

私は真っ先にファミコン「ロックマン」に登場する敵「キラーボム」を思い出したが、どうやらマーベル・コミックのキャラクター「ヴェノム」の顔であるらしい。3回戦で対戦したウクライナのヤストレムスカは、ピカチュウが描かれたマスクを着用しており、「マスク対決」などとも報じられていた。

それにしてもなぜ、大坂は「ヴェノムマスク」を着用していたのだろうか。というのも今年7月に大坂は、姉のまりと共同でかわいらしいパンダの顔が描かれたマスクを制作しており、販売で得られた収益は全額新型コロナウイルス対策支援のために寄付することが報じられたばかりだったからである(余談ではあるが、松岡修造も大坂からこのパンダマスクを贈られ、着用写真が松岡の公式Webサイトに掲載されている)。
公の場に姿を現す際に、自らの作ったパンダマスクではなく「ヴェノムマスク」を選んだのには理由があるのではないだろうか。

といったようなことを考えていた矢先、大坂がウエスタン・アンド・サザンオープンの準決勝を棄権するというニュースが飛び込んできた。8月23日にアメリカ・ウィスコンシン州で起きた、警官による黒人男性銃撃事件に抗議する意を表明したのである。
大坂のツイッターには、英語と日本語で声明が掲載された。そこには「私はアスリートになる前は黒人女性です。また、黒人女性としては、テニスをしているのを見るよりも、すぐに気をつけなければならない重要な事柄があるように感じます」(本人ツイッター、2020年8月27日の日本語投稿より抜粋)と記されていた。

牙をむくヴェノムマスクを選ばせたのは試合への闘争心? それとも……
牙をむくヴェノムマスクを選ばせたのは試合への闘争心? それとも……
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新刊紹介

オギリマサホ

1976年東京都出身。イラストレーターとしてシュールな人物画を中心に雑誌や書籍などで活躍。中学1年までは巨人ファンだったのが、中2のときに投手王国・広島カープに魅せられ、広島ファンに転向。そのカープ愛が炸裂するイラストエッセイ『斜め下からカープ論』を刊行。野球のみならず、広くスポーツ界を愛している。
Twitter@ogirim

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